健保連海外医療保障_No.134_2024年9月
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30ない。社会保険銀行は給与計算の管理を行い、ケア提供者の給与に対する課税と保険料を税務当局に支払った後の給与をケア提供者に支払う。個人介護予算は4つの法律(青少年法、社会支援法、健康保険法、長期療養サービス保険法)に規定される。必要なケアの種類に応じて、1つ以上の法が適用される82)。青少年法は、養育、行動上の問題、精神障害の場合など、青少年ケアやガイダンスのために個人介護予算を規定する。車椅子や交通機関などの子供や若者向けの補助は、社会支援法の対象となる。社会支援法に基づく個人介護予算の例は、日常生活での支援や家事援助、家の改修や車椅子、ケア援助を必要とする子供や若者のための個人介護予算を補償する。基礎自治体は個人介護予算に関する独自のルールがあり「WMO2015条例」に定める。青少年法と社会支援法は、個人介護予算が状況に適し、現物給付は適さない理由を説明する必要がある。「食卓での会話」を通してニーズを判断し、基礎自治体は2週間以内に支援を受理するか決定する。異議がある場合は不服申し立てができる。健康保険法(Zvw)は、離床、洗濯、着替え、注射の介助など、1年以上在宅ケアや身の回りの世話が必要な人の個人介護予算を補償する。終末期緩和ケアも対象となる。申請内容がこの法律に該当する場合は、健康保険会社にケアや支援を申請する。地区看護師が認定を決定する。健康保険会社は、個人介護予算が適切か否かを確認する。各健康保険会社には、個人介護予算に関する独自ルールがあり、ポリシー条件に記載される。面接後、健康保険会社が申請受理の決定を下す(Award statement, Toekennings-verklaring)。地区看護師の決定や指示に異議があれば、健康保険会社に決定の再検討を依頼できる。長期療養サービス保険法(Wlz)は、24 時間介護を必要とする慢性疾患や障害を持つ人 (子供、若者、大人) の個人介護予算を補償する。例として、身の回りの世話、看護、家事援助である。申請がこの法律に該当する場合、ケアアセスメントセンターに指示を請求できる。認定者であれば、居住する地域のケアオフィスで個人介護予算を申請できる。それが自身の状況に適す理由をケアオフィスに説明する必要がある。面接後、ケアオフィスが申請を決定し予算額が定められる。不服申し立てもできる83)。通常のケア(Gebruikelijke zorg)は無償で行われる。子供のために料理をしたり、両親のために買い物をしたりすることが当てはまる。この場合、長期療養サービス保険法(Wlz)に基づくケアは受けられない。通常のケアを自治体や健康保険会社が提供するケアや支援で補う必要があるかもしれない。これでは不十分な場合に長期療養サービス保険法(Wlz)のケアを受けられる85)。インフォーマルケア(Mantelzorg)は、愛する人(家族、友人、知人)を自発的に支援しケアすることである。これに対する「感謝」として、少額の謝礼や商品券が基礎自治体を通じて贈られる。インフォーマルケアは病気の家族や友人への無償の長期ケアである86)。個人介護予算をもつケア(Zorgverlening met pgb)は、ケアを提供する対象者が予算保有者であり、家族や親しい知人であれば、インフォーマルケアと呼ばれる。ソーシャルネットワークからの助け(Hulp uit 2. インフォーマルな介護者のための 意思決定支援身近な人が介護を必要とし、ケアを(部分的に)提供したいと考える場合に考慮すべきこと、その意思決定支援の手引きが作成されている84)。身近な人に提供できるケアには様々な種類があり、それぞれに長所と短所が指摘される。自分がケアをしたい人が望むこと、何が必要で、相互の期待は何か、(法的)代理人、介護者、家族など、それぞれの役割を考慮し、相互に話し合い、期待と可能性を検討することが勧められる。インフォーマルケアには報酬の有無が介在する。

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