29健保連海外医療保障 No.134指名が必要な場合もある73）。2023年に長期療養サービス保険（Wlz）に基づく個人介護予算の追加予算に関する規定が施行された74）。適応症/ケアプロファイルの標準予算額が低いために在宅で良いケアができない場合、25％の追加予算を請求することができ、在宅追加費用を受け取るか否かはケアオフィスが査定する75）。18歳以上で長期療養サービス（Wlz）を利用する場合、個人負担額が請求される。低額負担額（Lage eigen bijdrage）と高額負担額（Hoge eigen bijdrage）の2つの水準がある。自宅で介護を受ける場合は低額負担額であるが、療養型や居住型施設に4か月を超えて入所する場合は高額負担額が請求される。例外もあり、個人の状況（収入、資産、年齢、世帯構成など）に基づき、CAKが算定する77）。政府はこの高額負担額に上限を設け、2024年は月額2,887.40ユーロとした。2023年は2,652.40ユーロであった。78）個人介護予算で自分のケアを購入する場合、いつ、どこで、誰からケアを受けるか、自分で決めて申請を行う。予算保有者はケア提供者（Zorgverlener）と契約を締結し、予算計画をつくり、ケア提供者の管理や支払い手続きを行うための管理スキルが必要となる。そのため サービス提供者や自治体は、個人介護予算の要件を満たすか確認をする。個人介護予算に関 する知識やスキルの習熟度（10 punten pgb-vaardigheid）80）には次の項目がある。①自身の介護状態の把握、②個人介護予算の規則と義務、③個人介護予算の管理、支出の本質的理解、④基礎自治体、健康保険会社、ケアオフィス、社会保険銀行（SVB）、ケア提供者とのコミュニケーション能力、⑤ケア提供者の自主的選択、⑥契約の締結、実施記録の保管と説明責任、⑦提供されるケアの質的評価、⑧ケア提供者の休暇や病気の時の調整、⑨ケア提供者の管理と遂行指示、⑩業務や顧客との関係に関する（法的）知識である。個人介護予算でケアを購入する場合、自分に合った介護者を選ぶため自身のネットワークの内・外で探し、配偶者や家族、友人、隣人などインフォーマル介護者とフォーマル介護者のどちらを雇うかを自分で決められる81）。予算保有者はケア提供者の労働時間を管理し、ケア提供者が体調を崩した場合も含め、社会保険銀行に申告する。また個人介護予算提供者（基礎自治体など）が、使途の確認を求めた場合に備え、記録は5年間保管しなければなら2. 所得に応じた自己負担額 （Income-related personal contribution, Inkomensafhankelijke eigen bijdrage）長期療養サービス保険（Wlz）ケアを受けると所得に応じた自己負担額がかかる。普通はWlzの指示を受ける前から介護やサポートが 必要となる。ケアニーズは、2015年社会支援法（WMO2015）、青少年法、健康保険法（Zvw）によって満たされる。長期療養サービス保険（Wlz）の権利は、2015年社会支援法（WMO2015）よりも優先される。Wlzの権利がある場合、2015年社会支援法（WMO2015）による個別支援の措置を提供する義務はない。そのため、基礎自治体は市民がWlzを受ける権利があるかを確認する。その場合、申請書をCIZに提出し、CIZ は調査後、Wlzに基づくケアを提供するか否かを決定する（保健福祉スポーツ省 2024：19）76）。Ⅵ. 個人介護予算（Personal budget, Persoonsgebonden budget, Pgb）個人介護予算は、必要なケアを購入しサポートを得るために使用する予算である。これは市町村やケアオフィスが購入してケアを手配する現物給付（zorg in natura）とは異なる。中央政府はケアにおける自主性と選択の自由を進める考えである79）。1. 個人介護予算意思決定支援
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