27健保連海外医療保障 No.134図3 オランダのケアオフィス基礎自治体は要保護児童の措置や青少年の更生保護、家庭内暴力や児童虐待対応に責任をもち、2015 年青少年法制定時に設立した近隣チーム/青少年チーム(Neighbourhood team)を通じて支援を提供する。近隣チームは、契約する青少年サービス提供者を若者に紹介する。必要に応じてかかりつけ医(GP)、小児科医や専門医が若者を基礎自治体や青少年サービス提供者に直接紹介する。また基礎自治体が個人介護予算(Pgb)を提供し、子どもや青少年の親が自分で医療・介護サービスを購入し、青少年サービス提供者(契約または非契約)が関わる。医療・介護サービスを購入する基礎自治体は質を管理し、サービス提供者から送られた明細が 締結された契約と一致するかを事後に確認する。また、指定された医療・介護サービスが実際に提供され、時間、労力、資源が効率的に配分されたかを確認する。議会は、執行部が青少年法に基づく職務を正しく行うことを保障する64)。2006年の健康保険改革は支払いの仕組みが変更されたもので、ケア提供は変更されなかった。2015年長期療養・介護サービス改革では、基礎自治体と健康保険会社は、従前の経験や専門知識が不足するケアの種類を新たに組織する必要が生じた。それまでは限られた数の支払者と契約を結んでいた在宅ケアや青少年ケアの小規模提供者は、はるかに多くの健康保険会社や基礎自治体と交渉しなければならなくなった。さらに、個人介護予算を持つ人々に代わって支払い責任を負うことになった社会保険銀行(SVB)は、人員配置、コンピュータシステム、個人介護予算に割り当てる資金の再検討を余儀なくされた(Van Ginneken and Kroneman 2015)。礎自治体、ケアオフィス、または健康保険会社が、どのケア施設から選ぶかを決める。個人介護予算と現物給付を組み合わせることもできる65)。ケアオフィス(Care office, Zorgkantoor)は政府に代わり、長期療養サービス保険(Wlz)の認定者が必要なケアを受けられるよう責任をもつ。現物給付の場合は、ケアオフィスと契約を結んでいるケア提供者からケアを受ける。どのケア提供者からケアやサポートを受けるのか選択し、契約を結ぶことで、在宅や施設でケアを受けられる。ケアオフィスがケア提供者に費用を支払い、自己管理の必要はない。ケアオフィスは、クライエントと一緒にどの介護を希望するか、習慣やニーズに適うものを見ていく。ケアオフィスは、クライエントが居住する地域の高齢者施設、障害者施設、在宅ケア組織のケア提供者と質や料金を検討して契約する。ケアオフィスはクライエントをサポートするため、情報や助言を提供し自己決定を支える。クライエントの家族、介護者、ボランティアなど、ソーシャルネットワークを関与させ、在宅ケアを受けながら自立生活を継続支援する66)。居住地ごとにケアを手配するケアオフィスが決まる。各ケアオフィスは、地域最大の健康保険会社と提携している。クライエント自身のケアオフィスが、クライエントの健康保険会社と提携していない場合もある。図3の通り、オランダ全土に、次の7つのケアオフィス、すなわち、出所:Zorgkantoor,(ケアオフィス)引用。Ⅳ. ケアオフィス(Care office, Zorg kantoor)長期療養サービス保険(Wlz)の認定者がケアを受ける方法は、個人介護予算または現物給付(zorg in natura)から選択できる。個人介護予算は自分でケアを購入する。現物給付は、基
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