健保連海外医療保障_No.134_2024年9月
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26表6 社会給付: 青少年法のか、あるいは市町村は申請を判定する際、収入や資産を考慮に入れることは認められていないことなど、法律に明確な根拠が示されていない点が指摘されている。中央政府は基礎自治体協会(Vereniging van Nederlandse Gemeenten, VNG)に対し、基礎自治体が法的手段を用いて財政の枠組みの中で法を適切に実施できるかを監視し、必要に応じ支援する旨を約束した59)。2015年1月に施行された全面改正青少年法(Youth Act, Jeugdwet)は、18歳未満の全ての人々とその両親を対象とし、子育て上の問題、発達上の問題、精神的健康上の問題および障害児・者を対象としたケアサービスの責任を基礎自治体に課すものである。18歳に達した後は24時間常時見守りが必要な人のみ、長期療養サービス保険(Wlz)に基づくケアを受ける。青少年法では、全てのケア(身体的ケアを除く)を1つの法律にまとめ、基礎自治体が責任を負うことで、ケアの調整(coordination)を改善するねらいがある。基礎自治体は、このためにケアと助言のチームを設置する。実際は、問題を抱える家族にケアコーディネーターを割り当て、サービス利用を円滑にする。基礎自治体は、税による地方自治体基金を通じて、これらの活動に対して中央政府からの資金を受け取るが、基礎自治体の裁量によって予算が決められる(Van Ginneken and Kroneman 2015)。改正青少年法に移管された子どもの予防および精神的健康管理は、2015年予算では39億ユーロである60)。青少年法に基づく社会給付費は、表6の通りである。年19952000ユーロ5億6,800万9億4,400万出所:CBS, Statline(中央統計局) 61)200520108億7,100万14億9,000万20152019202026億6,300万36億4,200万38億300万原則として、18歳以降の居住者は青少年法に依ることができなくなり、2015年社会支援法(WMO2015)に基づくケアとサポートを受ける。ただし、23歳までは青少年ケアの延長が可能である。青少年ケアには、若者の心理的問題や障害、心理社会的問題、行動上の問題や知的障害、両親の養育問題、養子縁組に関する問題の対応が含まれる62)。2015年に至る前は、子どもや若者を含むすべての市民の福祉とケアの責任は、基礎自治体(Gemeente)、広域自治体である州(Provincie)、国の当局の間で分担されていた。サービスは細分化され、資金の流れは異なり、システムは効率的ではなかった。サービスやアプローチを合理化し、地域のニーズに合わせた改革が必要とされた。分権化は、政策とサービスを統合的アプローチに変える上での大きな転換である。この移行は、長期ケア、雇用、教育分野における政策と予算削減にもつながる。2015年1月以降、オランダの全ての基礎自治体(2023年1月1日現在342)は、支援を必要とする子供、若者、家族を含むすべての市民の福祉、支援、ケアに責任を負う。分散型の責任は、若者のメンタルヘルスを含むあらゆる種類のサービスに関連する。青少年法(2015年)に設定された改革目 標は、若者を含むすべての市民が当事者意識を持ち、責任を持って主体的に取り組むオーナーシップ、エンパワーメント、自立の促進、青少年と社会領域との一貫性の向上である。ニーズに基づくサービスの構築、予防と早期介入、全ての市民への支援、援助、ケア、精神保健と障害支援の統合、個別化されたケア、政策やサービスへの子どもや家族の参加支援が掲げられる(European Commission)63)。20212022202339億9,500万41億5,200万46億1,300万4. 青少年法(Jeugdwet)

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