25表5 政府の社会給付費(社会支援法 WMO)チーム(the neighbourhood community team)に紹介する。多くの基礎自治体が地域の拠点として近隣地区チームを設置している54)。個別的支援を申請した場合、基礎自治体は申請を受理するか否かを決定する。個別的支援は、契約と個人介護予算の二通りがある。契約による提供は、基礎自治体が支援を利用できるようにする場合と、基礎自治体が支援を提供する場合がある。個別介護予算(Pgb)の受取りを希望する場合は、自分で支援を購入する。クライエントは、個別的支援の提供に対して自己負担額の支払いを求められる場合がある55)。2015年社会支援法(WMO2015)の目的は、基礎自治体が市民の社会参加を支援することにある。中央政府の意図は、基礎自治体が最適な解決策を提供し、インフォーマルケアを推進することである。基礎自治体は、まず申請者が自分のことを自分でできる機会を見つけ、個人的なソーシャルネットワークの助けを借りて自分で対処できる機会を探すよう求める。これが不十分であると判断された時、公的財源による支援に進む。基礎自治体は住民向けに最適化された支援を自由に組むことができ、それが基礎自治体間で異なる解決策となる。特別医療費保険(AWBZ)の受給権に基づくアプローチから、供給(provision)ベースのアプローチへ移行されてきた。例えば、基礎自治体は、専門職のケアを、隣人やボランティアが提供するケアに置き換える選択をしてもよい。以前であれば、受給資格者は専門職の在宅ケアを受ける権利があったが、改革以降、基礎自治体は住民のニーズを評価し、自立を強調することで、ケアの効率化と国家予算の削減の実現をめざす(Van Ginneken and Kroneman 2015)。年2010ユーロ23億4,000万出所:CBS, Statline(中央統計局) 52)健保連海外医療保障 No.13420152016201752億6,500万53億3,800万54億8,100万20182019202058億8,000万63億4,100万65億5,200万2015年には、基礎自治体が高齢者ケアのかなりの部分を担当するようになった。基礎自治体には政策の自由度が広がり、格差が指摘されていたが、2016年から2019年にかけ、高齢者ケア利用における基礎自治体間格差は拡大しなかった(Centraal Planbureau, CPB 2022)56)。家事援助を完全に廃止したところもあれば、提供時間数を削減したところ、他の予算項目を犠牲にして提供水準を維持したところも存在した。悪影響を緩和するため、基礎自治体が社会支援予算の増額を一時的に申請できる経過措置が合意された。また多くの社会支援利用者(2015年6月時点で約3,000人)が、家事援助の廃止や削減に反対する異議申し立てを自治体に行った(Binnenlands Bestuur)57)。要支援者やそのインフォーマル介護者、基礎自治体およびサービス提供者は、社会支援法に関わる当事者であり、法は支援の質を定め、品質基準を規定する。他は、基礎自治体、サービス提供者、クライエントが諸条件に同意して行う。基礎自治体の決定には不服申し立てができ、必要ならば別のサービス提供者に切り替えることもできる。無料の独立したクライエントサポートも受けられる。議会は執行部が社会支援法に基づく職務を正しく遂行することを保障する58)。2015年社会支援法(WMO2015)は、市民の自立と社会参加を維持するため個人的責任を強調する点が、2007年社会支援法と異なる主な違いである。これは政府の政策の核心であり、国民の幅広い支持を得ているものの、この法律には、この目標を達成するための法的手段を基礎自治体に与えてはいない。例えば、市民が個人的ネットワークやインフォーマルケアを利用できるが、そうしたくない場合、それは許される20212022202362億2,600万65億5,000万71億9,000万
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