20図２ 長期ケア改革表２ 社会給付：長期療養サービス保険（Wlz）出所：Van Ginneken and Kroneman（2015）から引用。長期療養・介護サービス改革は、図2のように、特別医療費保険（AWBZ）から、3つの既存の法律（健康保険法Zvw、社会支援法WMO、青少年法）と1つの新たな法律（長期療養サービス保険法Wlz）へ制度間の分担が変更された。改革の目標は、（1）費用節減と長期療養サービスの価格維持、（2）可能な限り自立の継続、（3）ケアの質と調整（coordination）の向上である（会計検査院 2015）27）。長期療養サービス保険法（Wlz）の保険者は特別医療費保険（AWBZ）と同様に国であり、被保険者は、全ての居住者、オランダ国内で労働所得のある者であり、強制加入である。実際の保険業務は、保険者である国が、Wlz保険業務実行者（Wlz Performer, Wlz-uitvoerder）に委任しており、被保険者のマネジメント、サービス供給者との契約等の任務はケアオフィス（Care Office, Zorgkantoor）が、保険料の徴収等の任務はCAK（Central Administration, Centraal Administratie kantoor）が行う（大森 2015：24）。長期療養サービス保険（Wlz）の保険料は総収入（給与・手当、年金等）から差し引かれる。健康保険（Zvw）に対する所得比例保険料とともに、長期療養サービス保険（Wlz）に対する所得比例保険料があり、社会保障制度の一部である。特別医療費保険（AWBZ）の財源の大半は給与拠出により、2014年12.7％、年間最高額約4,220ユーロであった。特別医療費保険（AWBZ）に代わる長期療養サービス保険（Wlz）の所得比例保険料は大幅に下げられた。所得比例保険料は2015年から2024年まで課税所得の9.65％の固定率がすべての人に適用され、健康保険料の一部として給与から差し引かれるか、別途税務当局に納付される。2015年の所得比例保険料 の年間最高額は、3,241ユーロであった（Van Ginneken and Kroneman 2015）。Wlz保険料の負担の基礎となる総収入の上限額は、2016年では3万3,589ユーロ（Ministry of Public Health, Welfare and Sport 2016：15）、最近では、2021年3万5,129ユーロ、2022年3万5,472ユーロ、2023年3万7,149ユーロ、2024年3万8,098ユーロである28）。機能的・精神的制約のため24時間常時見守りが必要なクライエントは施設ケアを受けられる。ニーズ評価に基づき受給資格が決定される。在宅ケアを希望するWlz資格者は、個人介護予算（Persoons gebonden budget, Pgb）（詳細はP.29にて後述）を申請できる。以前は予算保有者が自分で予算を管理したが、不正行為の懸念から現在は政府機関である社会保険銀行（Sociale Verzekerings Bank、SVB）が予算保有者に 代わり予算を管理する（Van Ginneken and Kroneman 2015）。長期療養サービス保険（Wlz）について2015年度予算ベースは195億ユーロ（会計検査院 2015）であった29）。社会給付では、表2の通りである（CBS, Statline）30）。オランダ医療庁によると、長期療養サービス（Wlz）費用は、療養費と国立医療研究所から年2015ユーロ173億6,700万2019217億1,800万出所：CBS, Statline2020227億3,900万2021254億900万2022276億1,900万2023309億3,900万長期療養サービス保険法(Wlz)1. 長期療養サービス保険（Wlz）
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