182024年の医療・介護の予算は総額1,034億ユーロが利用可能である。賃金の上昇、インフレ、介護需要の増加などにより、健康保険料は継続的に上昇しており、政府が示した2024年の健康保険の平均年間保険料は1,792ユーロ、月額149ユーロ以上で、2023 年の平均月額保険料よりも12ユーロ高くなる。強制免責控除額は2026年まで凍結され、2024年の強制免責控除額は385ユーロに設定される。低・中所得世帯は、医療手当（Health care allowance, zorgtoeslag）を通じて健康保険料の一部が保障される。2024年には、医療手当は月額最大127ユーロになる。2023年には、購買力の低下を緩和するために医療手当が一度引き上げられた。この引き上げは2024年に期限が終了する（Rijksoverheidオランダ政府）15）。低所得者は、翌年9月1日までの年度の医療手当（zorgtoeslag）（ほかに家賃給付、補足 児童手当）を受け取る権利があり、税務当局（Dutch tax authorities, Belastingdienst）で申請する。申請後に通知が届き、受給資格がある場合は、通知に記載された額の給付金が毎月20日頃に前払いされる。年末以降受け取った前払い金額が少ない場合は、まだ権利のある金額が一括して口座に支払われる。受け取った前払い金額が多い場合は、超過分を返還する。医療手当の支給条件は、①18歳以上であること、②オランダの健康保険に加入しており、③所得制限を下回っていること、④資産が高すぎないことである。オランダの税制・社会保障に関連する用語で、医療手当等を申請する際、パートナー（Toeslagpartner）の収入や資産を合算して計算する。医療手当を受けることのできる年間所得の上限額は、2024年、パートナー無は3万7,496ユーロ、パートナー有は4万7,368ユーロである。医療手当の支給が受けられる所得の上限額が、2023年のパートナー無3万8,520ユーロ、パートナー有4万8,224ユーロから引き下げられた（Belastingdienstオランダ税務当局）16）。総所得がパートナー無は23段階、パートナー有は43段階で月額の医療手当が定められる。パートナー無の医療手当の上限月額は、2023年の154ユーロから2024年の123ユーロへ、またパートナー有の医療手当の上限月額は、2023年の265ユーロから2024年は236ユーロへ下げられた。17）所得比例保険料（Inkomensafhankelijke bijdrage Zvw）は図1に示す通り、健康保険会社に支払う定額保険料とは別に健康保険基金に払う、いわゆる、健康保険に加入している場合に支払われる財政拠出金で、給与・手当、年金等の収入に基づいて計算される強制保険料で ある。2024年の雇用主負担の健康保険料率（Werkgeversheffing Zvw）は6.57％（2023年6.68％）、雇用主または福利厚生機関が給与・手当等から差し引く保険料率（Income-related contribution, bijdrage Zvw）は5.32％（2023年5.43％）である。健康保険料の負担の基礎となる総収入の上限額は、2023年6万6,956ユーロ、2024年7万1,628ユーロである（税務当局）18）。オランダのGDPに占める医療費は2016年10.3％、2017年10.1％、2018年10.0％、2019年10.1％、2020年11.2％、2021年11.3％、2022年10.2％である（OECD, Stat）19）。社会保障給付でみると、健康保険法（Zvw）の関連では、2010年338億400万ユーロ、2015 年385億8,800万ユーロ、2019年439億8,000万 ユーロ、2020年430億4,800万ユーロ、2021年464億7,600万ユーロ、2022年485億2,500万ユーロ、2023年526億8,500万ユーロである（CBS, Statline）20）。医療手当は、2010年38億3,500万ユーロ、2015年38億9,900万ユーロ、2019年49億900万ユーロ、2020年52億3,000万ユーロ、2021年 54億7,300万ユーロ、2022年56億1,600万ユーロで、2023年79億5,000万ユーロである（CBS, Statline）21）。オランダの医療制度は連帯の上に成り立ち、高齢者も若者も、健康な人も病気の人も、所得の高い低いにかかわらず、誰もが基本パッケージから同じケアを受ける権利がある。健康保険会社には、全員を被保険者として受け入れ、同じ基本保険料を請求する法的義務（受入義務）
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