健保連海外医療保障_No.133_2024年3月
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諸外国における周産期医療・生殖補助医療と公的医療保障健保連海外医療保障 No.13366表9  不妊治療医療機関の施設・装備および専門人材に関する基準認するように、生殖補助医療に関する重要な法として位置づけられている。母子保健法第2条(定義)11号では、「不妊13)」について「夫婦(事実上の婚姻関係にある場合を含む)が避妊をしていない状態で夫婦間の正常な性生活を営んでいるにもかかわらず1年が過ぎても妊娠できない状態」としている。そして同法同条第12号で「生殖補助医療」について、「妊娠を目的に自然な生殖過程に人為的に介入する医療行為として人間の精子と卵子の採取など保健福祉部令に定める施術」として定義している。そして同法施行規則第1条の2には生殖補助医療の細部類型として「1.男性の精子採取および処理を行い女性の子宮腔内に直接注入し妊娠を図る子宮内精子注入法」と「2.女性の卵子と男性の精子を採取した後に体外受精および培養し発生した胚を女性の子宮腔内に移植し妊娠を図る体外受精胚移植(以下、体外受精)」の2種類が提示されている。また同法第11条(不妊克服支援事業)では、国および地方自治体が不妊とリプロダクティブヘルス14)の問題を克服するための事業を行うことができると規定し、具体的には、不妊治療の治療費支援、不妊関連相談および教育、不妊予防および関連情報の提供などが規定されている。2024年1月からは流産や死産を経験した人への相談・心理支援も加えられた。そして、保健福祉部長官が不妊治療医療機関を指定することができることとし(第11条の3)、指定を受けた区分施設・診療室・独立的な空間の精液採取室・超音波機器・顕微鏡・精液検査装備・遠心分離機等精子分離装置装備専門人材・産婦人科専門医1名以上・ 施術を補助することができる看護師または看護助務士1名以上出所:国家法令情報センターウェブサイト「母子保健法施行規則 別表2」より引用(2024.1.15アクセス)子宮内精子注入施術医療機関不妊治療医療機関を対象に施設整備、専門人材の質、不妊治療の実績と質の管理を評価し、その結果を公開しなければならず、その結果によっては指定を取り消すことができると規定している。その他にも、不妊治療専門相談センターの設置・運営に関してや、不妊克服のための支援を効率的に行うための生殖補助医療の現状およびそれにともなう妊娠・出産などに関する統計および情報などの資料の収集・分析、管理の義務化も同法に定めている。母子保健法は、生殖補助医療の定義条項を置き、生殖補助医療を不妊治療の一形態であると規定するとともに、不妊克服のための支援についての具体的な内容を規定している。上記で触れたように、生殖補助医療としての不妊治療を行うことができる機関については、母子保健法に規定されている。具体的には、同法第11条の3(不妊治療医療機関の指定等) において、保健福祉部長官が、「医療法」 第3条第2項第1号のカ(医院)・タ(韓医院)および同項第3号カ(病院)・タ(韓方病院)・マ(精神科病院)のうち、不妊治療が可能な医療機関を不妊治療医療機関に指定することができるとしている。これに基づく不妊治療医療機関は、保健福祉部令で定める施設及び専門人材等を備えなければならない(表9)。体外受精施術医療機関「生命倫理および安全に関する法律施行規則」第17条第1項および別表1による胚生成医療機関の施設・装備および専門人材3. 実施内容(1)生殖補助医療実施可能な施設

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