健保連海外医療保障_No.133_2024年3月
66/78

63表7  産婦・新生児健康管理支援事業の標準サービス内容帝王切開の場合は1週間、入院するが、そのあと、多くの産婦が産後調理院を利用する。産後調理とは、母親の体力を回復させ、妊娠と出産過程を通じて溜まった体の老廃物を排出させることを主たる目的とし、出産前の状態に戻るために体と心を管理することを指す。そして、産後調理院とは、その産後調理および療養などに必要な人材と施設を持つ施設である。母子保健法において、「産後調理業」として規定されている。そこで、分■直後の妊産婦や出生直後の乳児に給食・療養およびその他日常生活に必要なサービスが提供される。必要な専門人材として、健康管理責任者(医療法第2条に定める医師、助産師、看護師)、看護師、看護助務士9)などが母子保健法施行規則に規定されている。「2021年産後調理実態調査」によると、産後調理の場所として、自宅が88.8%であるとともに、産後調理院は81.2%となっている(重複回答可)。好まれる産後調理の場としては、産後調理院がもっとも多く78.1%、自宅は16.9%となっている。保健福祉部によると、2023年6月現在で、産後調理院は全国で469か所が運営されている。そのうち、自治体が運営する公立の産後調理院は、18か所となっている(保健福祉部2023b)。全国の産後調理院の半数近くは2週間の利用料金が300万ウォンを上回ると調査された。利用料金が最も高いのはソウル江南区にある産後調理院で、2週間の特別室の利用価格が3,800区分産婦健康管理産婦身体状態調査、乳房管理(あんま、マッサージを除く)、産後むくみ管理(あんま、マッサージを除く)、産婦栄養管理、座浴支援、産婦衛生管理、産後体操支援新生児健康管理新生児健康状態確認、新生児清潔管理、新生児授乳支援、新生児衛生管理、予防接種支援産婦情報提供応急状況の発見および対応、感染予防及び管理、授乳・産後回復、新生児ケア関連の産婦教育家事活動支援産婦食事準備、産婦・新生児の主な生活空間の清掃、産婦・新生児の衣類などの洗濯情緒支援情緒状態の理解、情緒的支持その他提供記録の作成、特記事項の報告出所:保健福祉部(2024)54より引用。健保連海外医療保障 No.133標準サービス万ウォン(一般室の場合1,200万ウォン)に達している。同区内の他の産後調理院では2週間の特別室利用料金が2,700万ウォンであるが、一般室利用料が1,700万ウォンで一般室としては最も高かった。また、一般室基準で2週間の利用料金が300万ウォンを超える産後調理院は217か所(全体の46.2%)であった。一方、自治体が運営する公立の産後調理院の平均利用料金額は約170万ウォンで、民間の産後調理院よりかなり低額で利用できるが、その割合は全体の3.8%にすぎない状況である10)。産後調理院のニーズは高いものの、経済的な負担感も否めない状況にあるといえる。韓国では、生殖補助医療は世界で18番目に、アジアではシンガポール、日本、台湾に次いで4番目にソウル大学病院のチャン・ユンソク、ムン・シンヨン、イ・ジンヨン教授のチームが行った、1985年10月12日の体外受精(IVF-ET、「試験管ベビー」とも呼ばれた)により、双子が帝王切開で誕生した日を基準に本格化していった。過排卵誘導と卵子採取は必要なく精液採取のみであることから相対的に医療的手続きが少ない子宮内精子注入法(Intra-Uterine しての「不妊夫婦支援事業」の導入Ⅲ. 生殖補助医療(ART)11)の概要1. 歴史的経緯(1) 不妊治療に対する経済的負担軽減策と

元のページ  ../index.html#66

このブックを見る