61健保連海外医療保障 No.133②妊娠・出産診療費支援制度(国民健康保険法)妊娠・出産診療費支援制度は、妊産婦と乳幼児の医療費負担を軽減し、フレンドリーな出産環境を整備することを目的に、2008年12月から施行された妊娠・出産関連の診療費等(給付・非給付)にかかる自己負担分の決済をすることができる利用券(バウチャー)の提供を行う制度である。韓国では、「国民幸福カード」と呼ばれる国家で行う多様なバウチャーを1つのカードで利用することができる統合型バウチャーカードがある。この国民幸福カードを通じて、妊娠・出産診療費支援制度による給付を行い、すべての療養機関(病院・医院)で診療費の決済として使用できるようにしている。支給対象は、妊娠・出産(流産・死産含む)が確認された国民健康保険加入者または被扶養者、および2歳未満の乳幼児の法定代理人(出産した加入者または被扶養者が死亡した場合に限定)であり、同制度の利用を申請した者である。満19歳以下の青少年の産婦は、後述する政府の「青少年産婦妊娠・出産医療費支援」も同時に申請することができる。支給額は、妊娠1回あたり、胎児ひとりにつき100万ウォンである。2023年以前には、胎児ひとりを妊娠した場合は100万ウォン、多胎児を妊娠した場合は双子であれ、三つ子であれ一括して140万ウォンを支給していた。しかし、多胎児妊娠の場合、医療費支出が増えるという現実を反映し、多胎児の場合にも胎児1人あたり100万ウォンを支給することとなった。なお、申請時に、分■脆弱地に妊産婦の住民登録(妊産婦が外国人である場合は外国人登録、外国国籍同胞6)の場合は国内居所申告)されており、分■脆弱地での住民登録期間が連続して30日以上ある場合、20万ウォンが追加支給される。支給されたバウチャーが使用できる範囲は、妊産婦の診療費(妊娠・出産にかかわらず)および薬剤・治療材料の購入時の自己負担金(給付・非給付)についての決済分である。2歳未満の乳幼児の診療費および薬剤・治療材料の購入に対する一部自己負担金(非給付の費用も含む)の決済についても対象となる。ただし、疾病・健康増進などの医療の目的ではない場合の使用は不可である。また薬剤の場合、食品医薬品安全処7)で許可された医薬品(専門医薬品・一般医薬品)の購入は使用できるが、医薬部外品は使用の制限がある。バウチャーの使用開始は、利用券の発給が行われた日(ポイント生成日)からとなる。すでに発給された国民幸福カードを所持している場合、カードの追加発給はなく、すでに所持しているカードに申請日にポイントが付与され、その日からバウチャーの使用が可能となっている。このバウチャーの使用が始まる前の診療費についての■及適用はできない。使用開始後は、同制度の利用を出産前に申請した場合には分■予定日から2年間、出産後に申請した場合は出産日(流産した日、死産であった日)から2年間となっている。この使用期間内に使用しなかった支援金の残額は自動で消滅する。妊娠・出産診療費は、医療給付法にもとづき行われる低所得層を中心とした産前後の産婦の健康管理のための給付である。国民健康保険による妊娠・出産診療費支援制度と同様に、国民福祉カードを通じて支給され、また、支給額も同じく胎児1人の場合は100万ウォン、多胎児の場合にも胎児1人につき100万ウォン支給する。産婦の子どもへの支援についても出生から2年とし、利用期間も出産以降2年としている。また、妊娠・出産の診療のほかに、医療給付を行う機関で発生した診療費および処方薬剤および治療材料の購入への使用も可能である(非給付を含む)。使用できる機関については、病院・医院のほかにも助産院、韓方病院などでも可能である。分■脆弱地の妊産婦に対する妊娠・出産診療費が追加支援(20万ウォン)される。妊娠中あるいは出産および流産または死産であった受給権者にも支給することができる。なお、医療給付対象者の自然分■、帝王切開③妊娠・出産診療費(医療給付法)
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