諸外国における周産期医療・生殖補助医療と公的医療保障健保連海外医療保障 No.13360表6 第1次〜第4次低出産・高齢社会基本計画における妊娠・出産関連の支援内容社会基本法を制定し、この法にもとづき2006年からは保健福祉部のみならず広く政府各部署によって人口の変化に対応する事業を示した総合計画である低出産・高齢社会基本計画を5年ごとに立て推進してきている。同計画の第1次〜第4次において周産期医療とかかわりの深い妊娠・出産関連の支援内容についてまとめると、表6のとおりである。第1次では、周産期医療にかかわる費用負担の軽減や全国的に出産できる環境の整備が進められた。第2次では、分■脆弱地で保険医療を提供できる環境の整備とともに、高リスク妊産婦への対応の拡充、医療保険での自然分■に対する報酬引き上げ、質が担保された安定的な産後ケア提供のための支援が行われた。第3次では、妊娠・出産にかかる医療費の大幅な軽減を図るとともに産後ケア(産婦・新生児の健康管理サービス)の提供対象の拡大が行われ、第4次でも周産期にかかわる医療費の負担軽減と産後の新生児を含めた健康管理支援の拡充が目指されている。以上で見てきたように、保障対象や金額の拡大などの方針は、少子化対策である低出産・高齢社会基本計画によって示され、それを具体的に実施していくために国民健康保険や医療給付、母子保健法の改正が進められている。周産第1次不妊夫婦支援事業、体外受精施術支援拡大事業、不妊予防、妊産婦の費用負担軽減のための産前診療検査の給付化、訪問産婦人科事業の全国拡散、分■脆弱地支援政策など(2006〜2010年)分■脆弱地の保険診療インフラ支援の強化、高リスク分■統合治療センター設置・支援の検討、大学病院内の新生児集中治療室設置支援、自然分■の報酬引き上げなどの産婦人科の健康保険報酬改善など、高リスク産婦の追加所要費用支援、不妊夫婦の体外受精支援の金額および対象者の拡大、妊娠・出産関連医療費支援、産婦・新生児ヘルパー支援(サービス価格の引上げ等)など第2次(2011〜2015年)第3次妊娠・出産医療費負担の大幅軽減(幸福出産パッケージ)として、超音波・上級病室料などに対する医療保険適用、自己負担の解消(国の責任とする仕組みへの転換)、高リスク産婦支援や分■脆弱地解消など安全な分■環境の調整、不妊夫婦総合支援体系の構築、産婦・新生児の健康管理サービスの拡大(対象の所得基準緩和の検討)、満12歳女児に対する子宮頸がん予防接種など(2016〜2020年)第4次妊娠前から男女に対する健康な妊娠のための支援、高リスク妊産婦の医療費支援の拡大、妊産婦・乳児の健康管理のための看護師等による訪問相談など、障害のある女性の妊産婦・乳児の健康管理支援、青少年産婦への医療費支援、不妊治療に関する支援拡大、分■脆弱地の支援拡大など(2021〜2025年)出所:イ・ソヨン(2022)に一部加筆。妊娠・出産に関連する主な支援内容期医療の公的な保障の拡充は少子化対策の影響が大きいといえる。くわえて、自然分■での入院は約2〜3日であり、自己負担金は免除される(食事代については50%)。帝王切開による分■については、約1週間の入院となっており、自己負担金は療養給付費用総額の5%(食事代は50%)である。また、高リスク妊産婦については療養給付費用総額の10%(食事代50%)が自己負担となっている。(1)妊娠・出産関連費用に対する支援制度①妊娠・出産の国民健康保険適用(国民健康保険法)すでに確認したように、韓国では妊娠・出産は健康保険の適用対象となっている。また、表2からもわかるように、妊産婦の診療費、つまり周産期医療に関しては、一般診療に比べ、自己負担金を軽減する措置が取られている。妊産婦の外来診療にかかわる療養給付を行う際の自己負担額は、上級病院の場合、療養給付費総額の40%、総合病院の場合は30%、病院は20%、医院は10%となっている。また早産や低体重児にかかる療養給付費用総額の5%が自己負担となっている。2. 周産期医療の保障に関連する制度とその内容
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