健保連海外医療保障_No.133_2024年3月
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57表5  第1次〜第4次低出産・高齢社会基本計画の少子化対策部門の目標区分国民基礎生活保障法による受給者― 労働能力がない者、算定特例に登録された結核患者、稀な疾患患者、重度の難病患者および重度疾患(がん患者、重度のやけど患者のみ該当)、施設受給者国民基礎生活保障法以外の他法による受給者― 罹災者、義傷者および義傷者の遺族、国内で養子となった18歳未満の児童、国家有功者およびその遺族・家族、国家無形文化財保有者およびその家族、脱北者とその家族、5・18民主化運動関連者及びその遺族・家族、野宿者など1種一定の居所がない人で、警察署で孤立無縁の状態である者と確認された人のうち医療支援が必要であると市・郡・区庁長が認めた者2種国民基礎生活保障法による受給者のうち労働能力があるものを含む世帯の構成員出所:保健福祉部(2023a)114より引用。健保連海外医療保障 No.133医療給付は、国民基礎生活保障法による受給者と被災者、義死傷者4)、国家有功者5)および重要無形文化財保有者などの国民基礎生活保障ではない他法による対象者などを受給権者としている。この医療給付の受給権者のうち、国民基礎生活保障による受給者は1種および2種の受給権者に区分し、自己負担に違いを設けている。国民基礎生活保障受給者で医療給付を受給する人を第1種と第2種を区分する基準は、労働能力の有無であり、国民基礎生活保障受給者のうち労働能力がない世帯の構成員は1種、労働能力がある世帯の構成員は2種となっている。国民基礎保障法以外の法による受給権者は、1種となっている(表3)。給付内容については、受給権者に対し、税により、疾病や負傷、出産などに対する診察、検査、薬剤・治療材料の支給、処置・手術とその他の治療、予防・リハビリテーション、入院、看護、移送、その他の医療目的の達成を目的とする措置となっている。国は、法令で定めた受給権者の「法定自己負担金」を除いた金額の全額を支援するが、法定自己負担金は、1種・2種の区分によって異なる。受給権者冒頭で述べたように、韓国では2000年に入り、急速な少子高齢化が重大な政策課題となった。その状況を背景に2005年、低出産・高齢社会基本法が制定された。同法は、「子どもの出産および養育が円滑に行われ、高齢者が重要な社会的行為者として健康で活力のある社会生活を営むことができるように国家の責任を定め、低出産・高齢社会政策の基本方向とその樹立および推進体系に関する事項などを規定することで、国民の生活の質向上と国家の持続的な発展」(第1条)を目指すことを目的としている。同法における少子化対策の主要内容に着目してみると、出産と保育、母子保健の増進、経済的負担の軽減が示されている。たとえば、同法第8条では出産・保育等に対する、第9条では母子保健の増進に対する、第10条では経済的負担軽減に対する、国家および地方自治体の責務を明示している(表4)。特に、第9条に関連する事業の実施にあたっては、母子保健法をその事業実施の根拠に置くものが多い。また、同法第20条に基づき、「低出産・高齢社会基本計画」が5年ごとに推進されることとなっており、現在、第4次計画(2021〜2025年)が進められている。第1次〜第4次の計画の少子化対策の部分に関する目標は表5のとおりである。時期第1次2006〜10年出産・育児に有利な環境づくり第2次2011〜15年出生率の漸進的回復子どもとともに幸せな社会(合計特殊出生率 (2014)1.21→(2020)1.5へ)第3次2016〜20年第4次2021〜25年個人の生活の質の向上出所: 大韓民国政府(2005)、同(2010)、同(2015)、同(2020)をもとに筆者作成。目標(2)給付対象・給付内容表3  2021年度の医療給付の第1種・第2種受給権者3. 低出産・高齢社会基本法と母子保健法

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