健保連海外医療保障 No.13334%、2021年生まれでは52%と上昇した。その一方で、生後2か月の完全母乳の割合は、1997年の81%から2021年には61%と減少している(Socialstyrelsen 2021b)。12) 育児休業中の親(無職者含む)とその子どもが無料で利用できる公共施設。1970年代に共働き型社会に移行し、1974年には男性も育児休業取得の対象としたスウェーデンでは、子どもが1歳半〜2歳までは両親間で育児休業を分担・分割取得し、家庭保育を行うのが一般的となっている。コミューンは、1歳以上のニーズのある子どもに就学前学校(保育所)に通う権利を保障する義務を負う(高橋 2021)。13) 同国の出生率の動向と少子化対策については、拙稿(高橋 2020、2023)で論じている。14) 出産1,000件のうち、自宅出産はおよそ1件とされている(SVT Nyheter 2020-10-3)15) 1933年、Elise Ottesen-Jensenと医師のグループによりスウェーデン性教育協会(Riksförbundet för sexuell upplysning:RFSU)が設立され、性教育と啓発活動を牽引した。RFSUは1937年に開業した医療用品店で、避妊具や性教育図書の販売も始めた。1938年には同国の避妊情報禁止が撤廃され、1942年に国民学校で任意の性教育、1945年には教員による性教育が導入された(Mattson 2021)。16) 子ども・若者対象のメンタルクリニックである子ども・若者精神医療センター(Barn och ungdomspsykiatri:BUP)も全国各地に整備されており、ユースクリニックとともに、学校の保健医療(elevhälsan)と連携し、子ども・若者をサポートしている。17) 千葉(2019)は、親子法改正に向けた1947年の政府報告書ですでに人工授精が法的観点から問題とされていた点を指摘している。18) 同原則は、保健・医療法(HSL 2017:30, 9 kap)と患者法(SFS 2014:821)に取り込まれており、各レギオンは遵守することとなっている(Sveriges Kommuner och Regioner online)。19) 2021年、ストックホルム・レギオンの分■拠点病院の助産師総勢100名程が、過酷な労働環境を理由に離職した。背景にあったのは、人員不足による負担感と賃金への不満である。スーデル病院産科の管理職全員が抗議で役職を辞し(Dagens Medicin 2021-11-1)、ダンデリィード病院では、同年11月初めに40人もの助産師が退49参考文献Barnmorsketeamet.se.職願を提出した(SVT Nyheter 2021-11-2)。助産師の労働条件改善を求める動きはその後拡大し、同年11月16日、助産師を支援し、産婦人科の危機に抗議する女性団体関係者800名以上が、ストックホルムのレギオン庁舎前に集結し、8万2千名の抗議署名を提出した(SVT Nyheter 2021-11-21)。1999年に出生率が過去最低レベルの1.5まで下がったその翌年に政府が設置したワーキンググループの調査報告書において、既にストックホルム地域の妊婦数に対する産科(分■拠点病院)不足が指摘されていた。地方の産科(KirunaとLycksele)の閉鎖問題も物議をかもしていた。産科の需要と供給のバランスの崩れが出生行動に影響を与えるとの指摘もなされていた(Ds 2001:57)。20) 患者中心で公平性の高い周産期医療体制の実現を目指す政府の任務により、保健福祉庁は、2024年1月29日、医療計画案を提出した。同案で優先的に取組むべきとされているのは、次の6項目である;①切れ目のない周産期医療、②特別なニーズのある妊産婦を対象とする保健医療の強化、③医療スタッフの技能向上、④現在の知識へのアクセスの向上、⑤産科医療の連携と公平性の向上、⑥産後ケア事業の強化と改善(Socialstyrelsen 2024, p.6)。https://barnmorsketeamet.se/ (最終アクセス日:2024-1-22)BB Stockholm online.https://bbstockholm.se/content/praktisk-information#:~:text■Partner%2Fmedf%C3%B6ljare%20betalar%20250%20kronor,medf%C3%B6ljare%20800%20kronor%20per%20dygn. (最終アクセス日:2024-1-20)Dagens Medicin. 2021-11-1. “Samordnare ska lösa Stockholms förlossningskris”.https://www.dagensmedicin.se/specialistomraden/kvinnohalsa/samordnare-ska-losa-stockholms-forlossningskris/ (最終アクセス日:2024-1-20)Dagens Nyheter. 2023-11-27. ”Privat BB öppnas
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