健保連海外医療保障_No.133_2024年3月
28/78

25健保連海外医療保障 No.133(immatricuration)に関する要件は存在しない。現金給付に関しては、登録期間に関する要件が存在し、出産予定日前10か月間の登録期間が必要である。また、妊娠前の3か月間に150時間または12か月間に600時間の労働を行っているか、または、妊娠前の6か月間に時間当たり最低賃金(SMIC horaire)の1,015倍の賃金あるいは12か月間に2,030倍の賃金を受けていることが必要である。農業制度の被保険者は、出産予定日の時点で保険料を支払っていれば、一般制度の被用者に対するのと同様の現物給付を、AMEXAから受ける17)。出産保険からは、妊娠、出産およびその後の産褥期(suites)に関係するか否かを問わず、妊娠6か月目の初日から産後12日目までの間に生じた、妊産婦の医療費、薬剤費、入院費、ラボでの分析検査費用、装具費の一切が給付される(社会保障法典L.160-9条1項)。また、法定の妊婦健診の費用、未来の父の医学検査費用および新生児の医学検査費用(同条2項1号)、社会保障担当大臣のアレテ18)で定めるリストに登載されたその他の医療費等(同項2号)、一定の条件の下での自宅と産科施設との間の移送費用(同項3号)も対象となる。これらの給付には自己負担分(ticket modérateur)は存在せず、全額が給付される。その他の負担金(participation)、すなわち、入院時定額負担(forfait journalier hospitalier)、1ユーロ定額負担金、受診時定額負担(franchise médicale)も、いずれも免除される(同条3項)。出産給付は、妊娠・出産が通常の経過をたどった場合に給付を行う。したがって、異所性妊娠のように妊娠や産後が病的なもの(pathologique)である場合には、医療保険から給付が行われる。なお、後述のように、生殖補助医療に関連する諸費用は医療保険から給付され、利用者の自己負担は免除されている。人工妊娠中絶の費用(2)給付(a)現物給付(3)費用(財政)についても同様である(社会保障法典L.160-8条1項4号、L.160-14条20号、R.160-17条I-1項4号)。(b)現金給付(代替所得保障)一般制度では、被保険者である女性労働者が出産のために休業を取得した場合に、賃金の喪失分を補償するための日額手当(indemnité journalière du congé de maternité)を受けることができる。休業前の3か月間に受けた賃金額が算定基礎となる19)。2001年12月21日法律(2002年社会保障財政法)で創設された父親休暇(congé de paternité)を取得した者20)にも、出産保険から現金給付がなされる。農業制度の女性被保険者は、出産のために休業する場合の代替要員の費用として、代替手当21)(allocation de remplacement)を受けることができる。一般制度の場合、出産保険の財政は、障害保険、死亡保険と同様に、医療保険と共通の枠組で行われる。出産保険の保険料があるわけではない。農業制度においても同様である。すべての妊婦は、医師または助産師が実施または処方する産前・産後健診を含め、妊娠中および産後の医学的監督を受ける権利を有する(公衆衛生法典L.2122-1条1項)。妊婦健診の回数と内容23)、実施期間は規則で定めるものとされ(同2項)、コンセイユ・デタ24)の議を経たデクレ25)により、初回は妊娠3か月目までに行うものとし、以降、毎月1回ずつ全7回行われるべきこととされている(公衆衛生法典R.2122-1条)。以下、時系列に沿って説明する。Ⅳ. 妊婦健診等22)1. 産前・産後の健康管理2. 妊婦健診(1)妊娠3か月目妊娠した女性は、まず、妊娠3か月目の末日

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る