健保連海外医療保障_No.133_2024年3月
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近年、フランスは出生数の減少や合計特殊出生率の低下がみられるとはいえ、妊娠・出産に関する社会保障制度が充実している。公的医療保険制度の中で、狭義の医療保険とは区別された出産保険が設けられており、現物給付として、妊娠・出産・産後の一定期間における妊産婦に関する医療費等の保障が行われ、現金給付として、女性労働者の妊娠・出産による休業期間中の代替所得保障が行われている。妊産婦の自己負担は免除されており、通常の患者よりも手厚い給付が行われている。2021年改正ですべての女性に利用可能となった生殖補助医療についても、一部の場合を除きその費用が医療保険の現物給付の対象とされており、同様に生殖補助医療利用者の自己負担も免除されている。諸外国における予防接種について表1 フランスの人口の推移(2019〜2024年) 年フランス国立統計経済研究所(INSEE)が2024年1月に発表した最新の数字によると1)、2024年1月1日現在のフランスの人口は6,837万人(本土6,614万人、海外223万人)で、前年より0.3%増加した。もっとも、これは平均余命が伸びたためであり、2023年の出生数は67万1月1日現在の人口20192020202120222023202467,25867,44267,69767,927p68,143p68,373pp:推計値, nd:入手不可出所: Insee, recensements et estimations de population, statistiques et estimations dʼétat civil.INSEE(2024), Bilan démographique 2023, Insee Première, n°1978.出生数(a)753.4735.2742.1726.0678.0pnd死亡数(b)613.2668.9661.6675.1631.0pnd自然の増減(a)-(b)+140.1+66.3+80.5+50.9+47.0nd移民による増減+128+223+183p+183p+183pnd8,000人で、前年より-6.6%と大幅に減少している。出生率の高さで知られるフランスだが、出生数はコロナ禍の2021年を除き、2010年をピークに減少を続けており、特に近年はその幅が拡大している(表1、図1)。出生数を規定する要素には、出産年齢にある女性の人数とその女性が出産する人数(生殖能力(fécondité))の2つがあるとされ、INSEE京都大学 教授稲森 公嘉Inamori Kimiyoshi(単位:千人)統計上の人口の伸び(単位:%)調整-84-34-34p-17p//////0.400.430.39p0.34p0.34pnd健保連海外医療保障 No.13320Ⅰ. はじめに特集:諸外国における周産期医療・生殖補助医療と公的医療保障フランスにおける妊娠・出産に関する社会保障制度

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