諸外国における周産期医療・生殖補助医療と公的医療保障ら医師から助産師に委任できるサービスリストを削除した。これにより、助産師関連団体の交渉力の向上がより一層望まれる。55) 厚生労働省第155回社会保障審議会医療保険部会資料1-2「出産一時金について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001000562.pdf 最終確認日 2024年1月22日)56) ドイツにおけるfremdlast/fremdleistungをめぐる議論については、Damian Fichte, Oraf Schulemann, “Versicherungsfremde Leistungen in der Gesetzlichen Krankenversicherung“, Wirtschaftsdienst 2010, Heft10, S.676. およびFremdlastをめぐる議論については、拙稿「ドイツ社会保険法制における財政負担に関する法的問題―Fremdlastと被保険者に対するその賦課の合法性について―」社会システム研究4号247頁参照。57) 胚保護法8条によれば、同法によって保護される胚とは、「前核融合以降のヒト受精卵で発育能力があると認められるものおよび胚から採取された全能性細胞」とされている(1項)。前核融合後24時間以内に単細胞段階を超えて発育できないと判断された場合を除き、原則として発育能力があると認められる(2項)。58) D.I.R(Anm.40), S.194.59) 体外受精の場合であれば、受精卵の移植数を調整することにより、多胎妊娠の可能性を調整することができるが、排卵誘発法などによる場合、多胎妊娠の可能性が高く、その回避法も確立していないため、合併症の危険性が増大し、子の予後も不良となる可能性が高いため、医学的社会的適用による中絶が行われることも十分考えられる。60) 生殖補助医療のあり方をめぐっては、他にも、子の出自を知る権利とドナーによる子どもの情報へのアクセス権、など多くの課題への対応も併せて検討する必要がある。ドイツにおける子の出自を知る権利に関しては、泉眞樹子(2018)「ドイツにおける生殖補助医療と出自を知る権利―精子提供者登録制度と血縁関係に関する立法―」外国の立法277号33頁参照。61) 日本では、保険適用外の治療法や薬剤が保険外併用療養費の対象となる先進医療に該当する場合などには全額自己負担は免れるものの、適応外の治療はそれ自体が高額であるため自己負担軽減の効果は薄い。健保連海外医療保障 No.13318合のみである。48) 例えば、ベルリン州では、第2・第3治療サイクルにおける体外受精(IVF)および細胞質内精子注入(ICSI)治療のみが助成対象となっている。尚、ベルリン州では、2021年7月1日以降、医学的適応がある女性カップル、外国人の精子提供に依存する異性カップルも州独自の助成対象となっている(ベルリン州保健社会局HP(https://www.berlin.de/lageso/soziales/zuwendung/foerderung-kinderwunsch/ 最終確認日 2024年1月5日))。49) 中絶の処置は、相談適用による場合相談を受けた医師以外の医師によって、医学的社会的適用による場合中絶が必要と判断した医師以外の医師によって、犯罪学的適用による場合指示を出した医師以外の医師によって、それぞれ実施されなければならない。50) Bundesministerium für Gesundheit (Anm.2), S.68.51) 医師会が中絶処置可能な医療機関のリストを作成し公開している。Bundesärztekammer, „Liste von Ärztinnen und Ärzten, Krankenhäusern und medizinischen Einlichtungen nach 13 Abs.3 SchKG“(https://www.bundesaerztekammer.de/themen/aerzte/schwangerschaftsabbruch 最終確認日 2024年1月20日)52) 相談適用による中絶の場合、中絶方法に応じて、350〜600ユーロの負担となる。Familienplanung.de, „Die Kosten eines Schwangerschaftsabbruchs“(https://www.familienplanung.de/schwangerschaftskonflikt/schwangerschaftsabbruch/die-kosten-eines-schwangerschaftsabbruchs/ 最終確認日 2024年1月20日)53) Bundesministerium für Familie, Senioren, Frauen und Jugend, „Schwangerschafts-beratung §218 Informationen über das Schwangerschaftskonfliktgesetz und gesetzliche Regelungen im Kontext des §218 Strafgesetzbuch“, S.23.54) 2023年9月に、疾病金庫連邦合同委員会は、産科ガイドライン(前掲■20)は産前・産褥期の女性に対する医療サービスのみを規定しているものであり、助産師が提供するケアの範囲を規制するものではないとして、同ガイドラインか
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