健保連海外医療保障_No.132_2023年9月
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65図9 予防接種登録管理情報システムの仕組み出所:イ・ソックほか(2018:2)から筆者作成。健保連海外医療保障 No.132たとえば、コロナ禍前の2019年末の時点でみて、4億件強のデータベースが構築されている(保健福祉部 2021:589)。予防接種登録事業によって構築されたデータベースを活用して、2009年からは個人別の接種履歴の情報を確認できるサービスを開始している。2010年からは、ネットを通して予防接種証明書(韓国語)の発行サービスがスタートしており、2018年からは英文の予防接種証明書の発行サービスも提供している。また、2010年代に入ってからは、パソコンだけでなく、スマートフォンでも活用できるアプリケーションを開発し、実際、2011年から必須予防接種事前案内サービスを開始している。2023年現在、韓国語のみならず、英語、中国語、日本語、ベトナム語などを含む12か国でスマートフォンによる必須予防接種事前案内サービスが行われている。予防接種登録事業と必須予防接種事前案内サービスとかかわって注目すべきことは、2010年代に入り、「予防接種登録管理情報システム」を構築し、電子事業の一貫として政府が提供する各種電子情報サービスとの連携を図っていることである。たとえば、上記の小・中学校入学生予防接種図9予防接種登録管理情報システム 確認事業において、2012年から教育部の「教育情報システム」(学生情報など)との連携がその始まりとなり、2015年には行政自治部の「住民電算情報システム」(出生および死亡情報など)との連携が行われた。その後、2017年には保健福祉部の「汎政府社会福祉統合網」(福祉関連給付の受給履歴など)との連携が行われるようになった。その全体的な仕組みは図9で示している。この予防接種登録管理情報システムを活用して、予防接種の量的拡大および質的向上、また接種率の引き上げやワクチンの効果判定および予防接種政策の根拠資料の確保など、国家予防接種事業のより効率的かつ効果的な運営を図っている。こういった政策的努力と経験が、コロナ禍で、新型コロナウイルスの予防接種の迅速な実施と体系的な管理を可能にした「COVID-19予防接種システム」の構築とその運営に大きな基盤となったことはいうまでもない。以上が、国家予防接種事業として行われている7つの事業についての紹介である。以下では、それと関連する専門委員会の活動を取り上げその内容を検討したい。住民電算情報システム汎政府社会福祉統合網教育行政情報システム予防接種履歴確認管理情報システム予防接種情報予防接種情報予防接種内訳登録予防接種情報予防接種内訳登録予防接種案内予防接種証明書発行乳幼児健康健診結果提供乳幼児健康健診対象者管理予防接種施行および結果提供行政自治部保健福祉部教育部疾病管理庁予防接種登録国民健康保険公団医療機関保健所(自治体)国民

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