諸外国における予防接種について健保連海外医療保障 No.13264出所:疾病管理庁ホームページ(https://www.kdca.go.kr)から筆者作成。いて、65歳以上の高齢者と6か月以上満18歳未満の子どもおよび妊婦を対象に、インフルエンザ予防接種を行う事業である。同事業は、1997年に保健所のみで実施していたが、2015年以降は民間医療機関でも行うこととなった。また当初は、65歳以上の高齢者のみを対象としていたのが、2016年には、6〜12か月未満の子どもが対象となり、2019年からは妊婦も対象に含まれた。その後、2020年現在の対象者となって1回の予防接種を行っている。ただし、6か月以上満9歳未満の子どものうち、予防接種が初めての場合、また接種歴が確認できない場合は、2回まで予防接種を受けることができるようになっている。同事業の推進体系は、上記の図7の高齢者肺炎球菌予防接種事業の推進体制と同様の仕組みである。以上の6つの予防接種とともに、国家予防接種事業の一環として行われているのが、予防接種登録事業と必須予防接種事前案内サービスである。まず、予防接種登録事業は、個人の予防接種図8予防接種登録事業の仕組み 記録を登録するプログラムを開発・普及および記録の管理システムを確立し、個人別の接種記録を体系的に行うものである。同事業は、感染症予防法(第28条:予防接種記録報告規定)にもとづいて行われており、具体的には、図8のような仕組みをとっている。つぎに、必須予防接種事前案内サービスは、予防接種登録システムを活用して、子ども国家予防接種支援事業の対象となる子どもの親が、上記の図3で示した「子ども標準予防接種日程表」に定められた予防接種を受けなかったり、遅れたりしないように、事前に接種時期を案内する事業である。案内の主体は、特別自治道知事または市長・郡首・区庁長であり、実際の案内は、メールや郵便および自治団体ホームページの掲示板などを通じて行われている。これまでの経緯を簡単にみると(イ・ソックほか 2018)、予防接種登録事業は、2000年に全国の保健所に予防接種登録プログラムを設置し、個人別の予防接種記録を電算化することから始まった。2002年からは、接種記録の標準化事業とともに、保健所だけでなく民間医療機関にもプログラムを普及し登録を行うこととなった。その後、予防接種記録が持続的に蓄積され、(8) 予防接種登録事業と必須予防接種事前案内サービス図8 予防接種登録事業の仕組み予防接種予防接種接種証明書接種履歴確認接種証明書・地域保健医療情報システム・予防接種登録管理情報システム・医療情報システム・インターネット予防接種登録システム予防接種記録登録必須予防接種事前案内サービス・疾病保健統合管理システム・予防接種登録管理情報システム・予防接種ヘルパーホームページ予防接種記録登録被接種者保健所民間医療機関疾病管理庁
元のページ ../index.html#67