健保連海外医療保障_No.132_2023年9月
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57表2 国家予防接種事業の種類と概要会の活動、⑥「予防接種に関する各種資料」では、予防接種関連法令や指針、研究報告書や広報資料、予防接種の現況などが紹介されている。ここでは、ホームページに掲載されている情報を中心に、まず、国家予防接種事業の種類と内容を検討し(主に①〜③と⑥)、つぎに、予防接種の対象や実施基準および方法、そして予防接種後の異常反応や被害補償に関する委員会の活動(主に④と⑤)を紹介したい。なお、予防接種に関する疾病管理庁のホームページの紹介はわかりやすいが、それぞれの項目に関する詳細な情報までは掲載されていない場合がある。そのため、以下の記述においては、感染症予防法(2023年改正)とともに、疾病管理庁で毎年発行している「疾病管理庁白書」・「国家予防接種支援事業管理指針」・「インフルエンザ国家予防接種支援事業管理指針」・「予防接種後異常反応管理指針」、また保健福祉部の年次報告書である「保健福祉白書」の最新版を補足的に用いることにする。韓国における国家予防接種事業は現在、①「子ども国家予防接種支援事業」、②「小・中学校入学生予防接種確認事業」、③「HPV国家予防事業子ども国家予防接種支援事業小・中学校入学生予防接種確認事業当該年度の小学校入学者(満4〜6歳時に行う追加接種)および中学校入学者(満11〜HPV国家予防接種事業B型肝炎周産期予防事業高齢者肺炎球菌予防接種事業インフルエンザ国家予防接種支援事業65歳以上の高齢者、6か月以上満18歳未満の子ども、妊婦を対象にインフルエンザ予防その他出所:疾病管理庁ホームページ(https://www.kdca.go.kr)、疾病管理庁(2022b;2023)、保健福祉部(2021)などをもとに筆者作成。健保連海外医療保障 No.132満12歳以下の子どもを対象に予防接種の費用を支援12歳時に行う追加接種)を対象に、予防接種履歴を確認満12〜17歳の女性および満18〜26歳の低所得女性を対象に、ヒトパピローマウイルス予防接種の費用を支援B型肝炎表面抗原の陽性またはe抗原の陽性の母親から生まれた子どもを対象に、免疫グロブリン投与とB型肝炎予防接種および抗原・抗体定量検査の費用を支援65歳以上の高齢者を対象に、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンの接種の費用を支援接種の費用を支援予防接種登録事業、必須予防接種事前案内サービス接種事業」、④「B型肝炎周産期予防事業」、⑤「高齢者肺炎球菌予防接種事業」、⑥「インフルエンザ国家予防接種支援事業」の6つの項目に分けて実施されている。またその他予防接種の実施と関連して、⑦「予防接種登録事業」と「必須予防接種事前案内サービス」が行われている。それらの概要を簡単にまとめたのが表2である。国家予防接種事業の全体的な推進体系は図1のように示される。疾病管理庁が、予防接種のインフラの構築や目標と計画の樹立、また予防接種を行う医療機関に対する教育と国民に対する予防接種の広報活動など、国家予防接種事業に関する総括的な業務を担っている。予防接種の実施は地域の保健所と自治体から委託を受けた民間医療機関が行っている。予防接種にともなう費用は、感染症予防法にもとづいて、中央政府は、市・郡・区が負担する費用の1/2を負担し、市・道は市・郡・区が負担する費用の2/3を負担し、市・郡・区はその残りを負担することとなっている4)。現在は、通常、予防接種にかかる全体の費用のうち、中央政府が50%、市・道が15%(あるいは25%)、市・郡・区が35%(あるいは25%)を負担している(イ・ソックほか 2013:25)。民間医療機関が予防接種を行った場合、その費用に対して、定められた費用償還基準にしたがっ内容2. 国家予防接種事業(1)概要

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