3健保連海外医療保障 No.132表1 STIKOが勧奨する予防接種(2023)(3)予防接種の実施obersten Landesgesundheitsbehörden)の2段階で行われ、住民に対して直接的な拘束力を有するのは②の各州の保健省の勧奨である。ロベルト・コッホ研究所には、常設予防接種委員会(STIKO)が設置されている(第20条第2項)。STIKOの委員は、州保健省の了解を得て、連邦保健省により3年ごとに任命され、その人数は12〜18人である。委員は、公衆衛生の様々な分野の専門家であり、良心に従って活動し、中立の立場で任務を遂行することを義務付けられている。STIKOの会議には、連邦保健省、州保健省、ロベルト・コッホ研究所およびパウル・エーリヒ研究所の職員が、表決権を有さない立場で会議に参加する。また、連邦官庁のその他の代理人も会議に参加することができる15)。STIKOの任務は、①予防接種の勧奨、②接種後の通常の副反応と、通常の副反応の程度を超える健康被害とを区別する基準の策定である。STIKOは、予防接種を勧奨するに当たり、接種を受けた個人にとってどのようなメリットがあるかのみならず、接種が国民全体に対してどのような影響を潜在的に及ぼすかについて、エビデンスに基づき検証する。後述するように、STIKOが勧奨した予防接種の費用を医療保険が負担していることからも、STIKOの検証が質の高い学術研究に基づくこと、そして決定に至る過程が透明性を有することが重要とされる16)。なお、STIKOの勧奨は国民に対して直接的な拘束力を有しない。STIKOは毎年、「新生児・児童・青少年・成人のための接種カレンダー(Impfkalender)」(標準接種)を作成している。2023年の接種カレンダー17)で勧奨されている予防接種は、表1のとおりである。力を有しないため、勧奨は州保健省に伝達され、州保健省がSTIKOの勧奨に基づき、予防接種に係る公的な勧奨(öffentliche Empfehlungen)を行う(第20条第3項)。この際、州保健省は、STIKOの勧奨の趣旨に沿って、州の個別の状況に合わせた勧奨を行うことができる。州による公的な勧奨は、州民に対する情報提供であると同時に、予防接種被害への補償を州が行うことから(後述)、健康被害の補償請求権を保証するものともなっている18)。予防接種を実施する権限は、全ての医師が有し(第20条第4項)、特定の診療科を標榜する専門医(例えば、眼科、整形外科、産婦人科等)であっても、予防接種を実施することができる。接種内容ロタウイルス生後6週〜2か月破傷風生後2, 4, 11か月追加接種5〜6, 9〜16, 18歳以上・60歳以上ジフテリア生後2, 4, 11か月追加接種5〜6, 9〜16, 18歳以上・60歳以上生後2, 4, 11か月追加接種5〜6, 9〜16, 18歳以上百日咳Hib感染症生後2, 4, 11か月生後2, 4, 11か月追加接種9〜16歳ポリオ肝炎生後2, 4, 11か月肺炎球菌生後2, 4, 11か月・標準接種60歳以上髄膜球菌C15歳麻しん11, 15歳・標準接種18歳以上おたふく風邪・風しん11, 15歳水痘11, 15歳子宮頸がん9〜14歳 2回帯状疱疹60歳以上 2回インフルエンザ標準接種(毎年)60歳以上出所: STIKO, ■■■■■■■■■■■■■■■■■.<https://www.rki.de/DE/Content/Infekt/Impfen/Materialien/Downloads-Impfkalender/ImpfkalenderDeutsch.pdf?blob=publicationFile> を基に作成。対象年齢1)常設予防接種委員会(ロベルト・コッホ研究所)の勧奨2)州保健省による公的な勧奨前述のように、STIKOの勧奨は直接的な拘束
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