健保連海外医療保障_No.132_2023年9月
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諸外国における予防接種について表1 韓国における予防接種の歴史的展開で感染症に関する管理が行われるようになった。同研究所では、当時大流行を起こしたコレラに対してワクチンを開発し接種を行った。大韓民国樹立の1948年以降、同研究所では、ジフテリアと破傷風の抗血清を精製し、またコレラおよび日本脳炎のワクチンをはじめとした18種類のワクチンの生産と接種を行った(イ・ジョング 2000)1)。1950年代初頭には肝炎、腎症候性出血熱、疫痢など感染症が大流行した。当時の予防接種は、朝鮮戦争(1950〜53年)に参戦した国連軍の伝染病管理対策として行われ、その後しばらく、戦争後の外国(主にアメリカ)からの援助活動年予防接種の種類1882天然痘・全州城内に牛痘局を設置1895天然痘1912天然痘、コレラ・ ワクチンの生産と接種(朝鮮総督府・種痘規則の制定衛生課)1945コレラ・ ワクチンの生産と接種(朝鮮防疫研究所)・ ワクチン生産および接種(中央防疫1949ジフテリア、破傷風など18種類研究所)天然痘、ジフテリア、百日咳、腸チフス、発疹チフス、パラチフス、結核1954・「伝染病予防法」制定・ 定期予防接種に7種の伝染病を指定・国家予防接種事業の開始1958ポリオ・一部を対象に集団接種1965麻疹・予防接種実施19751976コレラ、破傷風・定期予防接種に指定・発疹チフス定期予防接種から除外・パラチフス定期予防接種から除外1978天然痘・接種中止1979・WHO「天然痘根絶」宣言・定期予防接種に指定・ 天然痘、コレラ、腸チフス定期予防1983麻疹、ポリオ接種から除外1990・コレラ接種中止1995B型肝炎・定期予防接種に指定出所: イ・ジョング(2000:13)、イ・ジョング/チェ・ウォンソク(2008:15)、イ・ソックほか(2013:17;2018:5)、疾病管理庁(2023:20)などをもとに筆者作成。主な内容の一環として実施されたとされる(イ・ジョング 2000;イ・ソックほか 2013)。1963年には、伝染病に関する管理および研究などを専門的に行う組織として国立保健研究院(1981年に国立保健院へと名称変更)が発足した。年予防接種の種類2000流行性耳下腺炎、風疹・定期予防接種に指定2001麻疹・「国家麻疹退治5か年事業」・ 疾病管理本部に予防接種管理課を20032005水痘・定期予防接種に指定2006麻疹・「麻疹退治宣言」・ 民間医療機関の定期予防接種事業2009・ 国家予防接種事業の拡大(本人負2010・ 「感染症の予防及び管理に関する法・ 国家予防接種事業の拡大(国家負担拡大のためのモデル事業実施)2012ヘモフィルスインフルエンザ菌b型2013・定期予防接種に指定・定期予防接種に指定・ 国家予防接種事業の拡大(全額国2014肺炎球菌、日本脳炎2015A型肝炎・定期予防接種に指定ヒトパピローマウイルス、インフルエンザ2016・定期予防接種に指定2023ロタウイルス・必須予防接種に指定主な内容設置への参加担あり)律」制定家負担)健保連海外医療保障 No.132542. 「伝染病予防法」の制定と「国家予防接種事業」の開始この時期においてもっとも注目すべきことは、1954年の「伝染病予防法」の制定である。同法の制定によって、天然痘、ジフテリア、腸チフス、結核などを含む7種の伝染病が予防接種の対象として指定され、それに対して「定期予防

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