41たとしても、出産前であれば接種可能である。生後数週間、乳児はこの免疫のおかげで、百日咳の予防接種を受ける生後8週目まで守られる。イギリスは2020年12月8日、世界に先駆けてCOVID-19のワクチン接種を開始した。2023年6月20日現在では、2022年8月31日時点で5歳以上である者は、1回目と2回目の接種が可能である。2022年9月1日以降に5歳となる者については、免疫力が低下しているか健康状態によりCOVID-19の高い感染リスクを負う者か、免疫力が低下している者と一緒に暮らしているか、の場合に接種することができる。生後6か月〜4歳までの子どもはCOVID-19の感染リスクが高い場合は接種できる12)。追加的なブースター接種については、2023年6月20日現在では季節ごとに行われ、今春の接種対象者は、2023年6月29日までに75歳以上である者、高齢者介護施設で暮らす者、5歳以上の免疫力が低下している者である13)。ただし、以上は2023年6月29日までの内容である。2023年6月30日からは接種の仕方が次のように変更された。COVID-19のワクチン接種をまだ1度も接種していない場合は、感染するリスクの高い者のみが対象となる。もし健康状態が変化し、免疫力を弱める可能性がある治療を行うことになった者は、主治医の助言のもと接種を行う場合もある。季節ごとに行われる追加的接種については、NHSの記録から接種の六種混合*2017年度2018年度2019年度2020年度2021年度93.1%92.1%92.6%92.0%91.8%注:六種混合の2017、2018年度は五種混合の接種率出所: NHS Digitalウェブサイト「Childhood Vaccination Coverage Statistics- England, 2021-22」Table1およびTable2より筆者作成健保連海外医療保障 No.132骨髄炎菌B(1回目)ロタウイルス90.1%89.7%90.1%90.2%89.9%92.5%92.0%92.5%92.1%91.5%骨髄炎菌B(2回目)肺炎球菌(ブースター)91.0%90.2%90.4%90.1%89.3%87.8%88.7%89.0%88.0%対象となった者を拾い上げ、NHSから接種対象者である旨連絡をすることとなる14)。表1は直近5年間の接種率をまとめたものである。Ⅱ-1-(1)でも述べたように、NHSでは接種率95%を目指して取り組んでいる。しかし、表1を見る限り、接種率95%を達成している予防接種はない。表1は1〜2歳時点での数値であるが、5歳時点での予防接種率を確認しても、95%を超えていたのは2018年度の五種混合のみであった(六種混合の接種が始まったのは2019年度からである)15)。COVID-19流行前の2018年度と、流行の初期(2020年1〜3月)が入っている2019年度や2020年度を比較しても、劇的に接種率が低下しているものはなく、COVID-19の流行が接種率に影響を与えているようには見えない。しかし、目標とする95%以上の接種に届いていないため、NHSは今後も積極的にワクチンの安全性や集団免疫獲得の重要性をアピールするとしている。次に義務教育就学期の者が受ける直近5年間の予防接種の接種率を見ていく。表2のデータを見る際に注意が必要なのは、年が学年期となっていることである。つまり「2017〜2018年」は、2017年9月〜2018年8月までを指す。これらの予防接種対象者は学齢期であるため、2020年初頭から流行したヒブ・骨髄炎菌C(ブースター)MMR91.2%90.4%90.5%90.2%89.0%91.2%90.3%90.6%90.3%89.0%(4)COVID-19表1 主な乳幼児定期予防接種の接種率(イングランド)(1)定期予防接種の接種率3.予防接種による副作用等による健康被害への補償
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