諸外国における予防接種について健保連海外医療保障 No.13240ていない者は、25歳の誕生日を迎えるまでは無料で接種を受けられる。男子にも接種が拡大されたのは2019年9月である11)。10代後半の若者や大学の新入生にこのワクチンを接種させる理由は、その年代は骨髄炎や敗血症を引き起こす骨髄炎菌のリスクにさらされるからである。鼻やのどに感染する骨髄炎菌は、菌の保有者の内10人に1人が無症状である。そのため多くの新しい人々と近距離で関わる機会が多い10代後半や大学生は、無症状で骨髄炎菌を保有している者と接する可能性が高いからである。6)三種混合(追加接種)破傷風・ジフテリア・ポリオの三種混合ワクチンの追加的ブースター接種であり、14歳で接種する。これは学校で接種の機会が設けられ、接種の年齢になると、学校から手紙が送られ、接種に同意するか否かを問われる。その際、次に紹介する骨髄炎菌ACWYのワクチンへの同意確認も一緒に送られてくる。7)骨髄炎菌ACWY骨髄炎と敗血症を予防するワクチンであり、14歳で接種する。三種混合と同じく、SAISによって学校で接種する機会が設けられる。1996年9月1日以降に生まれた者で、このワクチンを接種する機会を逸した者は、25歳の誕生日を迎えるまでは接種が可能である。大学より下の学校に在学中の場合は学校の学校看護師に相談し、卒業している場合はGPに予約することで接種の機会が得られる。大学生であればGPと相談することになる。8)季節性インフルエンザ2歳から小学生(イギリスの小学校は11歳卒業)までの者や、特定の条件を満たす中学生(イギリスの中学校は16歳卒業)、2〜17歳までの長期療養状態にある者は、点鼻形式のインフルエンザワクチンを無料で受けることができる。6か月〜2歳になるまでの間の乳幼児は、注射による予防接種を受ける。・50歳以上・特定の健康状態にある者・妊婦・長期在宅看護を受けている者・介護給付を受けている者・ HIV感染者や特定のがん治療を受けているなど、免疫力の弱まっている者と同居している者(3)成人・妊婦対象の予防接種1)季節性インフルエンザインフルエンザの予防接種は、GPや一部の産婦人科(妊婦のみ)、予防接種を行うことができる薬局(18歳以上を対象とする)で受けることができる。また、次の条件にあてはまる者は毎年無料で接種が受けられる。2)肺炎球菌肺炎球菌ワクチンは希望すれば接種することができる。特に65歳以上の者や、心臓や腎臓に疾患を抱えている長期療養者はNHSによって接種が推奨されている。3)帯状疱疹70〜79歳の者が接種できる。NHSでは80歳以上の者には接種を行っていない。その理由として、80歳以上になるとワクチンの効果が薄れることがあげられている。接種することにより、最低5年程度はその効果が持続するという研究結果がある。4)百日咳生後間もない乳児は、百日咳にかかると深刻な症状となるが、予防接種を受けることはまだできない。そのため、産まれてくる乳児が母体を通じて百日咳の免疫を得るために、妊婦への接種が推奨されている。具体的には妊娠16〜32週目に接種すると、胎盤を通じて産まれてくる新生児が免疫を獲得できるとされている。ただし、もしこの期間に接種する機会を逃してしまっ
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