39健保連海外医療保障 No.132だし、ウェブサイトでの情報提供だけでは予防接種に関する情報を自ら得ようとする者にしか知らせることができない。そこでGPや訪問看護師といった専門家が、直接保護者と対話をする機会を設け、予防接種への理解を深めてもらうよう努めている。この取り組みは、医療サービス提供者の方から積極的に人々に関わる姿勢を示している。それでは次に現在イギリスで行われている予防接種について見ていく。接種し忘れた場合は、登録しているGPもしくは前述した各地域のChild Health Clinicに相談して、接種予約を取ることが勧められている。1)六種混合日本では三種混合・四種混合が定期接種で行われているが、イギリスでは六種混合のワクチンが接種されている。日本の四種混合ワクチンであるジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオに、Hib(インフルエンザ菌b型)とB型肝炎を加えた6種の不活化ワクチンを、大■部に接種する。接種時期は生後8週、12週、16週の3回である。2)ロタウイルス経口接種のワクチンで、2回接種することとなっている。1回目と2回目の接種は4週間空け、通常は生後8週間と12週間に接種する。1度目の接種をし忘れた場合は、生後15週までなら接種可能で、2回目を接種し忘れた場合は生後24週間までなら接種することができる。3)骨髄炎菌B生後8週間、16週間、1歳の3回接種を大■部へ行う。5,000人の乳幼児を含む8,000人の治験を経て安全性をテストしたワクチンであり、2015年の認可以降、約500万人の子ども達が接種を受けている。4)肺炎球菌2020年1月以降に産まれた乳児は生後12週間と1歳の2回接種を行う10)。この時に接種する肺炎球菌ワクチンは13種類の菌株に対応するタイプとなっている。1991年9月1日以降に産まれた女子や、2006年9月1日以降に産まれた男子で、接種ができ(2)1歳〜15歳対象の予防接種1)Hib・骨髄炎菌C混合1歳のときに接種するこの不活化ワクチンは、生後8週、12週、16週の際に接種した六種混合に含まれるHibの免疫を増強するブースター接種であり、骨髄炎菌Cへの免疫を初めて獲得する予防接種となる。本ワクチンのおかげで、Hib・骨髄炎菌Cの感染者の割合はかつてない低水準となっている。2)麻疹・おたふく・風疹混合(MMR)1歳と3歳4か月の2回接種が行われる。2回目の接種は就学前の年齢にあたり、この接種で長期的効果の見込める免疫を得ることができるとされている。3)肺炎球菌(2回目)・骨髄炎菌B(3回目)先述した予防接種の追加接種である。4)四種混合ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオの四種混合ワクチンである。MMRと同様、就学前にあたる3歳と4か月で接種する。生後8週目、12週目、16週目で接種した六種混合の追加的なブースター接種である。5)HPV2006年9月1日以降に産まれた12〜13歳(男女とも)が1回目を接種する。子宮頸がんのみならず、ヒトパピローマウイルスに起因する口やのど(頭や首)のがん、肛門がんや生殖器のがん、尖圭コンジローマなどの予防にもなるため、男女ともに接種が推奨されている。2回目の接種は、1回目の接種から6〜24か月後に打つよう勧められている。2. 予防接種のスケジュール9)(1)1歳未満対象の予防接種
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