健保連海外医療保障_No.132_2023年9月
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〇〇◎〇◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎〇◎〇◎◎〇諸外国における予防接種について表3 児童を対象とした予防接種の種類(新型コロナウイルス感染症を除く)タイミング、さらに同時に投与が可能なワクチンの情報が整理されている。例えば、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの混合ワクチンについては、乳児が生後2か月、4か月、11か月のタイミングで接種する必要があり、それらは義務接種である。さらに6歳と11〜13歳の時期に追加接種が求められるが、これらは義務接種とは位置づけられていない。なお、百日咳については、他のワクチンとの混合でないものが存在しないため15)、一覧表では4種混合ワクチンとして接種時期が示されている。また、当該4種混合ワクチンと同時に接種が可能なワクチン(インフルエンザ菌b型感染症、B型肝炎、肺炎球菌感染症およびロタウイルスのワクチン)も視覚的に分かりやすく表示されている。このように、予防接種カレンダーにはワクチンに関して重要な政策情報がとりまとめられており、さまざまな年齢や職業、生活環境にある人々にとって必要なワクチンの最新情報が包括的に把握できるようになっている。予防接種に関する確かな情報を市民に伝えるための重要な政策手段であるといえる。ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオインフルエンザ菌b型感染症B型肝炎肺炎球菌感染症ロタウイルス髄膜炎菌感染症(C群)髄膜炎菌感染症(B群)麻疹・おたふくかぜ・風疹ヒトパピローマウイルス感染症2)注: 1)ロタウイルスの3回目接種の必要性はワクチンの種類によって異なる。 2)ヒトパピローマウイルス感染症のワクチンについては11〜14歳に2回接種することが推奨されている。出所:Ministère de la Santé et de la Prévention 2023 : 56より作成。誕生2か月3か月4か月5か月11か月12か月16-18◎ は2018年1月1日以降に生まれた児童に対して義務とされているワクチン〇 は児童に対して推奨されるワクチンは同時接種が可能なワクチン〇(〇)1)フランスでは、大部分の予防接種は医療保険の給付として実施されている16)。これにくわえて、公的な財源により運営される予防接種センターにより、無料の予防接種が行われている。さらに、県が運営する母子保護センター(centre de protection maternelle et infantile)や地域圏保健庁(Agence Régionale de Santé)によって設置の資格が与えられる結核対策センター(centre de lutte contre la tuberculeuse)もさまざまな人々に無料の予防接種の機会を提供している。以下では、まず、医療保険によって推進される予防接種の仕組みや現状について検討し、つづいてワクチンの接種率の向上のために重要な役割を担っている予防接種センターについてみていく。まずは、医療保険の給付対象となるワクチンについて確認しておきたい17)。先に見たように、か月6歳11-13歳〇健保連海外医療保障 No.13228Ⅳ. 予防接種の実施体制1. 医療保険の給付としての予防接種(1)医療保険による費用の償還

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