13表6 これまでの国家予防接種カンファレンスのテーマ(2)国家予防接種計画(2012年)2009年3月に行われた第1回カンファレンスでは、国民の予防接種を促進し、予防接種の関係者間で活動を調整するという目標が確認された。同年7月に行われた州保健大臣会議は、この目標を実現するために、連邦の官庁の支援を得て国家予防接種計画(Nationaler Impfplan)を策定することを決定した73)。この際、次の3点が確認された。① 国家予防接種計画においてドイツの予防接種の複雑な制度について情報を提供し、専門家と関心のある国民に対して制度の透明性を高めること② 連邦と州がドイツの予防接種の制度について、そして予防接種が行われる個別の疾病について共通の目標を設定すること③ 目標は関係者間で調整して設定し、国家予防接種計画に採用して評価を行うことまた、国家予防接種計画は定期的に見直して更新し、2年ごとに開催される国家予防接種カンファレンスにおいてその中間報告を行って議論するものとされた。カンファレンスでは、必要に応じて更なる目標が合意される。2012年に策定された国家予防接種計画は、22009予防接種に関する対話・共同プロジェクト2011予防接種―現実とビジョン―2013予防接種―社会全体の責任―2015予防接種による全ての人の保護―麻しんは撲滅可能―2017様々な生活世界における予防接種―みなで予防接種の間■を埋める―2019国際的な挑戦課題という文脈における予防接種戦略2022予防接種の改革―パンデミックによる挑戦とチャンス―注: 2021年に開催予定であったカンファレンスは、COVID-19を理由として2022出所: „Nationale Impfkonferenzen(NIK).“ NaLI website〈https://www.nali-健保連海外医療保障 No.132年に延期された。impfen.de/nali/nationale-impfkonferenzen-nik/〉を基に作成。テーマつのパートに分かれている。「パートA」では、①ワクチンの開発および許可、②予防接種の勧奨および接種の目的、③接種戦略の実現、④情報提供および啓発、⑤副作用、⑥疾病サーベイランスおよび接種率の調査の各テーマについて複数の目標を掲げ、それらの目標を達成するための措置を掲げた。続く「パートB」は「2011年時点におけるドイツの予防接種の制度」と題され、上記①〜⑥のテーマごとに現状を分析した上で、それぞれの目標が定められた背景を解説している。この「パートB」は同時に、「ドイツの予防接種の複雑な制度について情報を提供し、専門家と関心のある国民に対して制度の透明性を高める」という目標を達成するためのものともされる74)。このようなWHOにおける目標の設定に応じて、ドイツでも、1999年に連邦と州が「介入プ(3) ドイツにおける麻しん・風しん撲滅のための行動計画2015-2020(2015年)1984年、WHO欧州地域は麻しん撲滅の目標を掲げた。2005年には、風しんの撲滅がWHO欧州地域の目標として掲げられた。当初、欧州地域においては2010年までに麻しんを撲滅することが目標であったが、2010年にこれが2015年までと延期され、さらに2018年までにウイルスの伝播が継続して発生していないことを証明することが目標とされた75)。2. 国家予防接種計画(1)経緯
元のページ ../index.html#16