諸外国における予防接種について表4 予防接種被害に対する給付の受給者(2022年10月)加算(第33b条)、介護が必要になった場合の介護加算(第35条)がある。また、埋葬手当(Bestattungsgeld)は2,063ユーロ以上(第36条)、死亡手当(Sterbegeld)は毎月の基礎年金と各種加算額の合計の3倍の額(第37条)と定められており、遺族には遺族年金(第38条〜第52条)が給付される。予防接種被害を受けた者は、予防接種による被害の帰結として、健康上の被害(Gesundheitsschaden)があったことを、援護官庁に対して証明し、健康被害を認定されなければならない。このように、因果関係の証明責任は被害者にあるが、被害者が当該因果関係を証明しようとする際には、因果関係の蓋然性(Wahrscheinlichkeit)があれば足りるとされる(感染症防護法第61条)。なお、予防接種による被害の帰結として健康上の被害があったことを認定されるためには、当該の被害が6か月以上継続していなければならない43)。予防接種被害は、通常の副反応の程度を超える健康被害であるが、通常の副反応と、それを超える健康被害とを区別する基準は、前述のように、STIKOによって定められている。STIKOは、以下の症状を通常の副反応とする基準を示しており44)、これを超えるものが健康被害とされる。① 1〜3日間継続する接種した部位の赤み、むくみまたは痛み② 1〜3日間継続する39.5度未満の体温(直腸温)、頭痛・関節の痛み、だるさ、不快感、吐き気、不安感、所属リンパ節の浮腫③ 弱毒化した生ワクチンを接種してから1〜3週間後に現われる、当該予防接種が対象とする病気の軽い症状(Impfkrankheit)。例えば、耳の下の腫れ、短期間の関節痛、麻しん・おたふく風邪・風しん・水痘の予防接種後の軽い発疹等④ 明らかに予防接種以外の原因がある病状さらに、予防接種と健康被害の因果関係が医学上明らかでないという理由のみで蓋然性がない場合には、戦争犠牲者援護を所管する州の省庁の同意を得て、健康被害が認定され得ることが規定されている。この際、「医学上明らかでない」場合とは、学説上複数の見解があって、統一的な見解がない場合を指す。ただし、当該因果関係の十分な蓋然性を支持する少なくとも一つの見解がなければならない45)。また、①当該健康障害が生じた時期について疑いがある場合、②診断によって因果関係を十分に解明できない場合、③事情の解明が十分でない場合、④その他事情に不明な点がある場合は、この規定の対象外であり46)、援護官庁の裁量で健康被害を認定することはできない。補償は各州において行われるため、予防接種被害に対する補償について連邦全体の統計はないとされる47)。連邦労働社会省が公表している情報「社会的補償(2022年10月時点)」48)によれば、2022年10月の時点で感染症防護法に基づく補償、つまり予防接種被害に対する補償として給付を受給している者は、2,553人である(表4)。障害等級30405060708090100計遺族総計出所: „Empfänger/innen von Versorgungsleistungen der Sozialen Entschädigung im Inland und Ausland,“ 28. Oktober 2022. BMAS website <https://www.bmas.de/SharedDocs/Downloads/DE/versorgung-entschaedigung-inland.html> を基に作成。人数(人)2871502281831511821421,2302,5531432,696健保連海外医療保障 No.1328(4)健康被害の認定2. 補償件数
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