薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13156ACCPによれば、臨床薬剤師は、卒後研修プログラムを修了しているか、または薬剤師免許取得後にそれと同等の臨床経験を有している必要がある。また認定専門薬剤師の資格基準を満たす場合には、その取得が求められる。アメリカにおける薬剤師養成は、長らく5年制(薬学士)と6年制(薬学博士)の大学教育課程が併存する状態となっていた。1989 年の時点では、薬学部を持つ大学の 56%は、学士号のみを授与、14%は薬学博士号のみを授与、30%が両方の学位を授与するという状態であった5)。1980年代に薬学教育改革に関する議論が2)臨床薬剤師(clinical pharmacist)薬剤師の約27%は公立や民間の病院で、約5%は診療所で働いている。こうした臨床薬剤師は、調剤業務も担当するが、おもに病院などの医療チームの一員として患者のケアに直接携わる3)。米国臨床薬学会(ACCP:American College of Clinical Pharmacy)の定義では、臨床薬剤師は、「患者とその薬物治療に関連したニーズに対する直接的な観察と評価(患者への薬物治療の開始、変更、中止)を担当し、他の医療専門家と協力して患者への薬物治療の継続的なモニタリングとフォローアップに従事する者」である4)。例えば、糖尿病専門のクリニックで働く臨床薬剤師は、患者に対する薬の服用方法の説明や管理、健康的な食事のとり方の提案、血糖値のチェックなどを行う。3)その他コンサルタント薬剤師(consultant pharmacist)として、おもに医療施設や保険会社を対象に、薬物を用いた患者の治療や薬局のサービス向上についてアドバイスを行うことを業務とする者である。このほか、製薬業界において、マーケティングや営業、研究開発などの分野で活動し、治験の計画策定や新薬の開発、薬剤の安全規定の整備、品質管理保証などに携わる者もいる。(2)薬剤師の養成進展し、1989年に薬学教育認証機構(ACPE : Accreditation Council of Pharmacy Education)は、2000年までに認証評価を6年制の教育課程に一本化する方針を宣言した。この方針への賛否をめぐって多くの議論が生じたが、1997年にACPEは、2000年7月1日までに全米の薬学部に対して教育課程を薬学博士に一本化する計画の策定を義務づけた。かくして統一化されることとなった薬学部の教育課程は、原則として4年間で薬学博士を養成する専門職学位プログラムである。大学の学部課程(pre-pharmacy)で2年間、基礎科目を学んだ後、薬剤師となることを希望する者は、入学試験を受けて、薬学部に進学する6)。薬学部の教育課程における講義と実習は、ACPEが定めた認証基準に基づき評価を受けたものとなっている。2021年に薬学博士の学位を得た者は1万4,223人である7)。薬剤師に対する免許の付与や薬局の開設許可(3.で後述する)は、州の規制権限(police power)に基づき、州政府が管轄する。薬剤師となることを希望する者は、薬学博士の学位を取得した後、州が実施する薬剤師免許試験に合格する必要がある。各州に設置された薬事委員会(board of pharmacy)が薬剤師免許の審査を行う。州の薬事委員会は、薬局を経営する薬剤師や臨床薬剤師、消費者代表、薬剤師以外の医療専門職などで構成された組織である8)。薬剤師の免許を取得するためには、すべての州において北米薬剤師免許試験(NAPLEX : North American Pharmacist Licensure Examination)と薬事関連法規に関する試験の2つの試験に合格する必要がある。前者は、薬学教育で得た知識を実際に適用できるかを判断するものである。一部の州では実技試験も行われる。後者は、薬事に関わる連邦法と州法の知識に関する試験であり、大半の州では薬事関(3)薬剤師免許
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