薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.1312公的医療保険の給付費:病院診療費償還薬剤費保険医診療費物理療法、発声療法、作業療法、食■療法等の療法にかかる費用治療補助器具・製品費休職手当早期診断/リハビリテーション費その他の償還費義歯費を除く歯科医診療費義歯費出所:Daten zum Gesundheitswesen: Ausgaben7)制度を国民レベルで公的に導入した最初の国である。以後、公的医療保険制度はそれぞれの時代の要求性に合わせ、広範囲に及ぶ社会保障制度に変容してきた。導入当時は国民の約10%が加入していたが、現在は国民の約88%が公的医療保険に加入している4)。公的医療保険の理念は「高所得者が低所得者を、健常者が病人を、若者が高齢者を助ける」である。保険料率が同じであれば所得の多い者がより多くの保険料を支払うことになる。健康に生活を送っている者は医療費が少なくて済む。平均的に若者よりも高齢者の方が医療費が多く必要である。また、社会的弱者に優しい自己負担制度となっており、入院治療が必要な際の自己負担金は、1日当たりベッド代が10ユーロ、年間トータル最長28日のベッド代を支払えば、それより多くのベッド代を支払う必要がない。手術費を含めた治療費はすべて公的医療保険が負担する。保険医による診療費も原則、公的医療保険が全額負担する。図1より2021年度における公的医療保険の支出は2,634億ユーロ5)(約36.9兆円、1ユーロ=140円換算、令和3年度の日本の医療費は44.2兆円6))で、病院診療費が32.6%、償還薬剤費が17.7%、保険医診療費が17.0%を占めており、全医療費におけるその高い比率のために償還薬剤費も医療費抑制政策のターゲットとなる。公的医療保険による償還薬剤費は年々増加しているだけでなく、伸び率も増大しており、薬剤償還費を抑える様々な政策が採られている。(2)公的医療保険の理念図1 公的医療保険の給付費内訳(2021年度) (3)償還薬剤費(単位:10億ユーロ)疾病予防/セルフヘルプ費
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