薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13142職能団体としては、王立薬剤師会(RPS:Royal Pharmaceutical Society)が薬剤師専門職を先導している。Professional Standards Authority for Health and Social Care(PSA)がGPhCと他9つの医療従事者規制機関の業務を監視しており、医療従事者の規制に基づいて国民と公衆の健康と福利を推進する。一方、北アイルランドでは、北アイルランド薬剤師会(PSNI:Pharmaceutical Society of Northern Ireland)が規制機関と職能団体を兼任している。2010年まではGBも北アイルランドと同様に、規制機関と職能団体はRoyal Pharmaceutical Society of Great Britainとして一つの組織であった。しかし、規制としての質保証と専門職発展のための支援の視点の違いから政府勧告と法律の改正を受け、2010年にGPhCとRPSの二団体に分かれた。薬局を開局するにはMedicines Act 1968、Poisons Act 1972、Human Medicines Regulations 2012、Pharmacy Order 2010の法律の下、GBではGPhCに、北アイルランドではPSNIに登録しなければならない。GPhCはPharmacy Order 2010の下、登録薬局が業務を行う上で順守するべき基準3)を設けている。GPhCの薬局基準では5つの基本原則とそれに伴う計26の基準が定められている。GPhC薬局基準における5つの基本原則は以下の通りである。原則1: 患者と市民の健康、安全、福利を守るガバナンス体制原則2: 患者と市民の健康、安全、福利を守る権限と能力を備えているスタッフ原則3: 患者と市民の健康、安全、福利を守る薬局敷地内の環境と状態原則4: 患者と市民の健康、安全、福利を守るサービス提供方法(医薬品・医療機器の管理を含む)原則5: 患者と市民の健康、安全、福利を守る機器と施設イングランドには医療・ソーシャルケア(病院、GP診療所、地域医療)を規制している医療の質委員会(CQC:Care Quality Commission)という公的機関はあるが、薬局規制はGPhCが一括して行っている。しかしながら、薬局を通して提供される一部の医療行為(例:オンラインでの診療、処方)に関してはCQCが規制している場合もあり、医療行為と思われるサービスに関してはCQCへの登録が必要とされている。CQCはHealth and Social Care Act 2008(Regulated Activities) Regulations 2014の下、以下の通り13の基準を用いて規制をしている。Person-centred care(パーソン・センタード・ケア)Dignity and respect(尊厳と敬意)Consent(同意)Safety(安全性)Safeguarding from abuse(虐待からの保護)Food and drink(飲食)Premises and equipment(施設と設備)Complaints(苦情)Good governance(良好なガバナンス)Staffing(人員配置)Fit and proper staff(適切なスタッフ)Duty of candour(率直で正直である義務)Display of ratings(評価の表示)薬局開設と薬局業務に関してはMedicines Act 1968により定められている。Human Medicines Regulations 2012とあわせて、処方箋医薬品(POMs:Prescription Only Medicines)、薬局医薬品(Ps:Pharmacy Medicines)、一般薬(GSMs:General Sale Medicines)のうち、POMsとPsは法的順守している薬局でしか販売、提供できないことになっている。POMsの薬局での処方箋無しでの販売可能な例としては、Ⅲ. 薬局に関する各種規制1. 薬局開設の基準2. 薬局が取り扱う医薬品
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