37健保連海外医療保障 No.131局薬剤師による接種の対象者となるのは、成人(勧奨対象であるか否かを問わない)およびワクチン接種勧奨(recommandation)の対象である16歳以上18歳以下の未成年者である。これらの者については、事前の医師の指示は不要である。16歳未満の者については、薬局でのワクチン接種はできない。薬剤師協約では、ワクチン接種の実施に際して薬剤師が遵守すべき事項や薬剤師への報酬などが定められている。接種を行った薬剤師には患者1人につき7.5ユーロが支払われる(海外県・海外領土では1.05倍)。その他のワクチン接種については、現行のワクチンスケジュール7)で推奨されている場合に限り、成人および16歳以上の未成年者が対象となる。患者が医師による事前の指示を有している場合または事前の指示が不要である場合には患者1人につき7.5ユーロ、患者が必要な指示を有していない場合には患者1人につき9.6ユーロが、薬剤師への報酬として支払われる(海外県・海外領土では1.05倍)。前述の通り、2022年協約では、薬局で行われる検診として、A群連鎖球菌性咽頭炎の診断用簡易検査、単純性膀胱炎の検診、大腸がんの組織的な検診が挙げられている。薬局は、秘密を保持できるスペースに患者を受け入れて、説明した上で検査を実施する。医療廃棄物は適切に処理しなければならない。患者が自発的に薬局に来た場合には、費用は6ユーロである。検査結果が陽性の場合には、検査結果をもってかかりつけ医を受診するよう促す。陰性の場合には、症状をよくコントロールするための助言を与え、症状が続いたり悪化したりするときにはかかりつけ医を受診するよう促す。かかりつけ医からの指示を受けて検査に来た場合には、かかりつけ医が「条件付き」の抗生物質の処方箋を出している。検査結果が陽性の場合には、費用は6ユーロ。かかりつけ医が出した「条件付き」の処方箋に基づいて、抗生物質を渡す。陰性の場合には費用は7ユーロ。抗生物質は渡さず、助言を与え、症状が続いたり悪化したりするときにはかかりつけ医を受診するよう促す。以上の費用は、海外県・海外領土では1.05倍となる。薬局には、患者に対応するための秘密保持が可能なスペースと、採尿のためのトイレを備えていなければならない。薬剤師は検査結果の分析と解釈を行い、患者が反対しない限り、検査結果を患者のかかりつけ医に通知する。患者への対応は、1)の場合と基本的に同じである。患者が自発的に検査を受ける場合には、検査結果が陽性であれば検査結果をもってかかりつけ医または助産師を受診するように勧め、陰性であれば症状を抑えるのに適した助言を与え、症状が継続または悪化した場合にはかかりつけ医を受診するよう促す。かかりつけ医からの指示を受けて検査を受けに来た場合には、検査結果が陽性であれば、事前に抗生物質の「条件付き」の処方箋を有しているときには処方箋薬を渡し、陰性であれば処方箋薬は渡さず、自発的な来局の場合と同様に対応する。薬剤師には報酬として検査用紙代に1ユーロ、2)単純性膀胱炎の検査単純性膀胱炎に関するHASの勧告に従い、併発・再発のリスクを減らすため、尿中一般物質定性半定量検査(bandeletto urinaire)が用いられる。この検査を行う公衆衛生上の目的は、①女性の受診を促進すること、②単純性膀胱炎の場合に無用な尿の細菌・細胞分析検査(ECBU)の処方を制限すること、③抗生物質の使用を減らすことにより抗生物質耐性が生じるのを防ぐこと、の3つである。(4)検診の場として1)A群連鎖球菌性咽頭炎の診断用簡易検査公衆衛生上問題となる抗生物質耐性を抑止するために行われる。対象となるのは、アンギナによる喉の痛みがありMac Isaacスコア8)が2以上の者である。
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