健保連海外医療保障_No.131_2023年3月
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31健保連海外医療保障 No.131び医薬品の適正使用を促進する措置、薬剤師が医療連携への参加を求められる条件、薬剤費の前払いの免除を促進する措置、ジェネリック薬およびバイオシミラーの発展への薬剤師の参加、薬剤師の時間外対応に対する医療保険からの報酬の支払方式、調剤報酬の料金表(被保険者が薬剤師に支払うべきマージンを除く3))、薬剤師が行うその他の諸活動に対する報酬の料金表、協約違反の薬剤師に対する措置と手続、遠隔医療への薬剤師の参加方式(公衆衛生法典L.6316-1条)といったものがある(社会保障法典L.162-16-1条)。薬局所有薬剤師との現行の全国協約は、UNCAMとフランス薬剤師組合連盟(Fédération des syndicats pharmaceutiques de France:FSPF)および薬局薬剤師組合連合(Union de syndicats de pharmaciens dʼofficine:USPO)の2つの代表的組合との間で2022年3月9日に締結され、3月31日のアレテで認可され、5月7日に発効した。医薬品交付記録(DP)は、治療の連携と質および継続性を促進し、医薬品など薬剤師の独占に属する保健製品の交付の安全性を確保するための情報ツールである。医療専門職の組織および称号詐称と違法な職業遂行の抑止に関する2005年8月26日オルドナンスを追認する2007年1月30日法律によって創設され、正式には2008年12月15日デクレにより実施された。DPは医療給付の受給権者ごとに作成され、直近の4か月間に交付されたすべての医薬品(医師による処方箋薬だけでなく、薬剤師が推奨した非処方箋薬も)、3年間に交付されたすべてのバイオ医薬品、21年間に接種が行われたすべてのワクチンがリスト化される。DPにアクセスできるのは、薬局薬剤師および院内薬局の薬剤師のほか、患者の治療や検査を行う医療施設の医師等や医生物学薬剤師に限られている。これにより、薬剤師は患者の治療についてよりよく理解することができ、医薬品による医原病を防ぎ、医薬品の相互作用のリスクを最小化し、適切な服薬指導、適切な医薬品の推奨が可能になる。当初は医療保険受給権者の同意がある場合に作成されることになっていたが、2020年12月7日法律により、受給権者またはその法定代理人の反対がない限り、自動的に作成されることになった。前述の通り、薬剤師会全国評議会がDPの実施に責任を負っている。また、DPの運用については、情報処理と自由に関する国家委員会(CNIL)および会計検査院による監督を受け得ることとされている。かかりつけ薬剤師は、かかりつけ医(médecin traitant)と連携して慢性疾患者の治療に携わる。かかりつけ薬剤師の指定は、患者と薬剤師が所定の様式に記入して、患者が自らの加入する金庫に送付する。かかりつけ薬剤師は、かかりつけ医が処方箋に「かかりつけ薬剤師はこの処方箋をXか月の期間について更新できる」と記載している場合には、慢性的な処置を更新できる。この期間は12か月を上限とする。また、場合によっては、処方箋に「かかりつけ薬剤師は薬用量を変更できる」と記載している場合には、かかりつけ薬剤師が薬用量を調整することができる。更新のつど、かかりつけ薬剤師は、自らの任務の範囲で行ったことの詳細を処方箋に記載する。かかりつけ薬剤師の任務の遂行については、2022年の薬局薬剤師全国協約により、医療過疎地域(公衆衛生法典L.1434-4条1°に定める優先介入区域(ZIP)および補足活動区域(ZAC))においてのみ、報酬が付けられている。報酬額は年額で、指定を受けた患者1人につき、1年間に少なくともかかりつけ薬剤師の任務を1回は行っていることを条件に、患者数100人までは2ユーロ、患者数101人以上は1ユーロであり、年額500ユーロを上限とする。4. 医薬品交付記録(dossier pharmaceutique : DP)5. かかりつけ薬剤師(pharmacien correspondant)

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