薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13130の開設許可について、ARS長官は、薬剤師会の地方評議会または海外県・海外領土の場合には薬剤師会のセクションEの中央評議会の意見を徴することとされている(公衆衛生法典L.5125-18条)。さらに、医療施設の院内薬局の開設・移転・廃止について、ARS長官は、薬剤師会の関係する機関の意見を徴した後に許可をする(公衆衛生法典L.5126-4条)。このほか、在宅での医療用酸素供給設備(structures dispensatrices dʼoxygène à usage médical)の利用に関して、薬剤師のほか、保健相のアレテで定める利用準則を遵守する法人は、薬剤師会のセクションA、D、Eに登録された薬剤師の責任の下、在宅での医療用ガスを供給することができるが、その許可は、薬剤師会の関係する機関の意見を徴した後に、ARS長官が行うものとされている(公衆衛生法典L.4211-5条)。薬剤師会の懲戒部は、第一審懲戒部の場合には関係するセクションの地方評議会または中央評議会の評議員である薬剤師により、全国評議会の懲戒部の場合には全国評議会の全セクションの選出評議員である薬剤師と指名による教授により構成されるが、裁判機関としての専門性を担保するため、それぞれ行政裁判官またはコンセイユ・デタ評定官が長を務める。懲戒裁判を提起できる者は、①保健行政当局(保健相、社会保障相、ANSM長官、全国食品環境労働衛生安全庁(Anses)長官、ARS長官、3)懲戒裁判薬剤師会は、薬剤師による職業上の義務の遵守を確保するため、薬剤師倫理規程に反した薬剤師に対して懲戒処分を行うが、その手続は裁判の形式をとって行われる。まず、薬剤師会の内部に設けられる懲戒部で審理が行われ、その決定に不服がある場合には、全国評議会の懲戒部への控訴ができる。さらにその決定に不服があれば、コンセイユ・デタに破毀申立てをすることができる。このように薬剤師会における懲戒裁判機関は、行政裁判所系統に属する特別裁判所として位置づけられている。社会保障金庫の顧問医等)、共和国検事、県知事、薬剤師会の評議会議長等と、②私人、薬剤師会に登録している薬剤師、薬剤師組合、薬剤師団体、薬剤師会に登録している法人、患者・医療制度利用者等の権利擁護団体である。ここで特徴的な点は、②のグループの者による懲戒申立ての場合には、事前に調停(conciliation)の手続が行われることである。地方評議会または中央評議会の評議員が調停員となり、3か月間、調停が行われる。調停を経ても全面的な和解に至らない場合、懲戒裁判手続に移行する。裁判手続は、通常の裁判と同じく、基本的な手続保障(被訴追者の防御権等)の下、原則として公開で行われる。評議員の中から指名された報告担当者が訴追者、被訴追者の双方から意見を聴取し、場合によっては証言を求めて、事実関係に関する報告書を作成する。懲戒処分には、軽いほうから、①戒告、②譴責、③公的施設・公用認定施設・市町村・県・国による調達の全部または一部の一時的または確定的な禁止、④5年以下の薬剤師業の遂行禁止(執行猶予が付く場合もある)、⑤確定的な薬剤師業の遂行禁止がある(公衆衛生法典L.4234-6条)。薬剤師会とは別に、薬剤師の経済的利益等を代表する組織として、任意に結成される薬剤師組合(syndicats)が複数存在する。全国的な代表的薬剤師組合は、医療保険者と全国協約(convention nationale)を締結する。薬局薬剤師の全国協約は、医療保険制度から薬局薬剤師への報酬の支払いに関する事項を中心に、両者の医療保険金庫と薬剤師との間の関係を定めるものである。協約の締結には補足的医療保険者の連合組織も加わる。法定の協約事項には、医療保険者と薬局薬剤師のそれぞれの義務、被保険者に対する医薬品の交付の質およ(2)薬剤師協約3. 薬剤師組合/薬剤師協約(1)薬剤師組合
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