29健保連海外医療保障 No.131ることができない(公衆衛生法典L.4231-4条)。このほか、全国評議会には、法務大臣の指名する1名のコンセイユ・デタ評定官が、議決権(voix délibérative)をもって参加する(公衆衛生法典L.4231-6条)。また、全国評議会には9名からなる執行部(bureau)が置かれる。執行部のメンバーは、議長、副議長、経理担当者(trésorier)と6名の評議員で構成される。任期は3年で、9名のメンバー中、セクションAの薬局薬剤師2名、他のセクションの薬剤師各1名、薬学の教授または准教授1名を必ず含むものとする(公衆衛生法典L.4231-5条)薬剤師会には、前述の4つの任務を実現するため、専門職同業団体として一定の権限が認められている。専門職同業団体には、自由業を統括する自律2)中央評議会薬剤師会の7つのセクションには、それぞれ中央評議会が置かれている。中央評議会のメンバーも任期6年で、選出による評議員と指名による評議員で構成される(委員構成の詳細については公衆衛生法典L.4232-4条参照)。中央評議会にも、4名からなる執行部が置かれる。執行部は議長、副議長、経理担当者と評議員1名で構成され、任期3年で選出される(公衆衛生法典L.4232-2条)。3)地方評議会セクションAについては、ARSの管轄エリアごとに地方評議会が置かれている(ただし、Provence-Alpes-Côte d'AzurとCorseは合わせて1つ)。地方評議会のメンバーは、薬学の教授・准教授1名、公衆衛生監察薬剤師1名または2名、県ごとに選出された薬局薬剤師各2名からなる。地方評議会にも、議長、副議長、経理担当者を含む4名以上からなる執行部が置かれる(公衆衛生法典L.4232-6条)。(3)権限的組織として、当該自由業界の外部に対する役割と、内部に対する役割とがある。前者は、国家に対し、当該自由業に関する法制度の形成等に関して助言する役割であり、後者は、当該自由業内部の規律を確保する役割である。これらの役割を果たすため、専門職同業団体には、政府の諸機関(立法府・行政府・司法府)に対して当該自由業を代表して対応する対外的権限と、当該自由業に属する者に対する対内的権限とが認められる。前者については、当該自由業に関する法律や行政計画等に関して諮問を受け答申する権限や、薬剤師会の行った決定等に対する訴訟2)に対応する権限が挙げられる。対内的権限については、準立法機関または行政機関としての規範的権限と、懲戒機関としての懲戒権限とがあり、規範的権限は、一般的な射程を持つ規範の制定に関する権限と、個別的な決定に関する権限とに分かれる。前者の例には、職業倫理規程の制定に関する権限があり、後者の例には、名簿への登録および削除に関する権限、会費を徴収する権限、職業遂行上必要な各種の許可等に関する権限などがある。薬剤師倫理規程は、コンセイユ・デタの議を経たデクレの法形式で制定されるが、その原案は薬剤師会が策定することとされている(公衆衛生法典L.4235-1条)。同規程は、薬剤師がその専門的技能を行使する際に、患者や同僚との関係で、または自らの私生活において遵守すべき準則を定めるもので、その違反に対しては懲戒処分が課され得るものである。1) 薬剤師倫理規程(Code de déontologie des pharmaciens)の制定2)諮問への答申等薬剤師会は、医療の組織化に関する事項について政府から諮問を受けて答申を行う。例えば、薬の製造・卸売の施設の設置に関して、国立医薬品医療製品安全庁(ANSM)の長官は、関係する中央評議会の意見を徴した後に、許可を行う(公衆衛生法典L.5124-3条)。また、薬局
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