健保連海外医療保障_No.131_2023年3月
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薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13128裁判所に越権訴訟を提起することができる。以前は「一審かつ終審として」コンセイユ・デタに係属していたが、2010年2月22日デクレにより、現在では通常通り、まず地方行政裁判所に提訴することになっている。⑤ 職業遂行を危険なものとするような障害や疾患の不存在職業遂行を危険なものとするような疾患等が存在する場合1)には、薬剤師会の登録を決定した評議会は、当該薬剤師の職業遂行を一時的に停止することができる。軽度の場合には、補助者を付けるよう当該薬剤師に命じることができる。薬剤師会が適切に対応しないこともあり得るため、法律により、地域圏保健機構(ARS)の長官(directeur général)には、緊急の場合に、5か月を限度として職業遂行権の即時停止を命じる権限が与えられている。これは懲戒処分ではないが、当事者には防御権や対審手続を求める権利が認められている。医師会と同様、すべての薬剤師が強制加入する団体であり、専門職同業団体(ordre professionnel)としての法的性格を有する。専門職同業団体とは、主に自由業の専門職において組織される強制加入団体であり、公役務の管理を任務とする私法上の法人である。現行法上、薬剤師会の目的として、①薬剤師の職業上の義務の遵守を確保すること、②薬剤師という職業の名誉と独立性を守ること、③薬剤師の能力を監視すること、④公衆衛生および医療の質の向上に寄与することの4つが定められている(公衆衛生法典L.4231-1条)。薬剤師会の組織は、1つの全国評議会(conseil national)と7つの中央評議会(conseils centraux)、12の地方評議会(conseils régionaux)、4つの海外代議委員会(délégations dʼoutre-mer)からなる。薬剤師会の主な特徴は、薬剤師の勤務形態別に7つのセクションに分かれている点である。セクションAは薬局所有薬剤師(pharmacien titulaire dʼofficine)、セクションBは産業薬剤師(pharmacien de lʼindustrie)、セクションCは卸売薬剤師(pharmacien de la distribution en gros)、セクションDは補助薬剤師(pharmacien adjoint dʼofficine et autres exercices)、セクションEは海外県・海外領土薬剤師(pharmacien des départements et collectivités dʼoutre-mer)、セクションGは医生物学薬剤師(pharmacien biologiste médical)、セクションHは医療施設・医療社会施設および災害救助部局薬剤師(pharmacien des établissements de santé ou médicosociaux et des services dʼincendie et de secours)が、それぞれ所属する(公衆衛生法典L.4232-1条)。1)全国評議会全国評議会は各中央評議会の活動を調整し、薬剤師会を代表する。その他に、全国評議会の任務には、保健大臣や中央評議会から付託された案件を審議することや医薬品交付記録(DP)の実施体制を組織することなどがあり、少なくとも年4回は集まることとされている(公衆衛生法典L.4231-2条)。任期6年の26名の評議員で構成される(3年ごとに半数改選)。内訳は、7つのセクションを代表する選出による評議員20名(各セクション2名1組で、セクションAは3組、セクションDは2組、他のセクションは各1組)と、各団体・機関からの指名による評議員6名(国立薬学アカデミー1名、薬学の教授または准教授2名(高等教育相の提案に基づき保健相が指名)、保健省の医療提供総局長ならびに保健総局長および軍の医療部門の中央局長の各代表者1名ずつ)である。以上のうち、行政機関の代表者3名は、審議には加わるが発言権(voix cosultative)のみが認められている(懲戒事案を除く)。全国評議会の評議員たる薬剤師は、薬剤師会の他の評議会の評議員を兼ね(2)組織2. 薬剤師会(1)法的性格と役割

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