4. 医療機関との連携薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13116薬剤師には副作用報告義務がある。薬局へ報告された副作用や乱用ケースは、上記の医薬品委員会(AMK)へ報告する。欧州連合(EU)内における偽薬品流通防止のため要処方箋薬のトレーサビリティーシステム、SecurPharmが2019年2月9日より導入されており、薬局では、入荷時、販売時にパッケージに記載された2Dデータマトリックスコードをスキャナーで読み取らなければならない。このデータマトリックスコードには、メーカーのロット番号や使用期限情報も入っており、在庫管理目的にこれまで手入力していた使用期限をスキャンによってレセコンに入力することが可能になった。各薬局が服薬指導義務を遂行し、必要な医薬品情報を提供でき、安全上の観点から高度薬学管理が行えるよう作られているのがABDAデータバンクであり、各薬局のレセコンに搭載されている。Lauer Taxe®と共に、処方箋業務プログラムや顧客管理プログラムなどと連動し、相互作用、重複などの警告が即座に画面に表示されるようになっている。ABDAデータバンクには・医薬品の成分、賦形剤、添加物表示・ 薬効分類、製品分類(医療用、OTC、医薬部外品など)・適応症、治療領域・用法・用量、禁忌、相互作用・ 医薬品の剤形、保管法、使用期限、開封後の使用期限・ 医薬品の添付文書ならびに専門家向け添付文書のPDF版・ 錠剤画像、分割・粉砕の不可、溶解後使用の不可・成分モノグラフが収載されている。多剤使用患者のかかりつけ度は高く、ドイツにお薬手帳はない。薬局では、顧客カードを持ち薬歴を含めた個人情報のコンピュータ入力を許可した患者の薬歴管理を行う。研修を受けた薬剤師による薬学管理には報酬がつくことになった。薬局内にはドアの開け閉めにより別室になっているプライベートルーム(相談室)を設置する義務があり、ここで血糖値や血圧を測ったり、弾性ストッキングのサイズ測定を行う。患者が必要な弾性ストッキングは既成の標準サイズから外れ、特注となることが多く、足の形になじみ長期で使用してもらうため、正確なサイズ測定を行い、着用や手入れの際の注意事項について詳しく説明する必要がある。ドイツでは薬剤師による■刺が許可されているので、血糖値の測定も行える。簡易血液分析機器を■えている薬局では、さらに詳細な検査値の測定を行っているところもある。また、地域の健康イベントへ薬局が学術・技術協力したり、得意・専門分野で地域住民へのセミナーや学校への出前授業を行ったりしている。毎年6月7日は「薬局の日」で、ドイツ薬剤師連盟(ABDA)が決めたテーマに沿って、各薬局ができる範囲内で健康サポートイベントを行う。1998年9月10日に導入された29)。医療機関の1つとして薬局を社会的に位置付けし、国民医療において薬剤師が重要な役割を果たしていることをアピールする目的である。全国の薬局が一丸となり外に向けて情報発信する日でもある。医師は薬局を通さないと医薬品を入手できないので、院内診療用の処方箋が薬局へ来ると迅速な供給が求められる。医師には原則処方の自由が認められており、近隣の薬局は幅広い在庫を抱え、医師の処方をサポートする役割がある。ネット検索が可能になった現在も、医院からの(7)副作用報告(8)SecurPharm2. 服薬指導・医薬品情報提供3. 健康サポート
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