15健保連海外医療保障 No.131を2週間分抱え、平日は毎日薬局へ配送することが義務付けられている28)。筆者の経営する薬局に近い医薬品総合卸の物流拠点担当者の話では、約10万品目を品■えとして抱えているという。一般に医薬品総合卸は、医薬品のみならず、サプリメントや健康食品、介護用品、化粧品、医療機器、衛生用品など薬局で販売してよい製品を幅広く取り扱っており、次の配送で届けてもらえるので、医薬品総合卸の品■えがイコール薬局の品■えと言っても過言でない。このため、規模の大小や立地条件に関わらず、各薬局どこからでも処方箋を受け付けることができ、医師の処方自由度が幅広くなる。地域住民は1つかかりつけ薬局を持っていれば、治療や健康維持に必要な品物をそこで取り■えてもらえる。通常、薬局は2社の医薬品総合卸と契約しており、在庫があり購入条件が良く(割引率が高く)、より早く配送する方に製品を発注している。どの製品も1箱(個)からの注文が可能で、必要な製品を必要量だけ注文できるので、薬局は過剰な在庫を抱える必要がない。発注はネット回線を利用したMSV3方式で随時在庫の有無を確認できる。2社合わせて1日数回の配送があり、ドイツの薬局はネット販売業者よりも迅速に製品を入手し患者や顧客に提供することができる。営業時間終了前に注文する製品は次の日の朝までに薬局へ届くので、各薬局、Nachtschleuseと呼ばれる夜間配送口を設けている。仕切り戸で薬局の業務空間までは入れないが、外から■のかかるドアがついた空間で、■を持つ配送担当者が責任もって開け閉めをする。薬局営業法により薬局にはラボの設置が義務付けられている。ラボでは、入荷した成分原料や局方ハーブの確認試験を行うほか、医師の処方や患者の希望により医薬品の調合を行う。薬局によっては調剤室をラボとは別に設置しているところもある。調合は皮膚科からの処方箋によるものが多く、医師の希望する成分の組出所:ドイツ薬剤師連盟(ABDA)提供み合わせや成分濃度、サイズが市販品にない場合に行う。また乳幼児に適した成分濃度を得るため、シロップ剤やカプセル剤の調合も行う。その際、カプセルはそのまま服用するのではなく、賦形剤で希釈した医薬品成分を包装・搬送するための容器として使用される。薬局の調合作業により、患者に合わせたオーダーメードの医薬品を可能にしている。医薬品成分を可能な限り安定で使いやすく製剤化し、どこの薬局で調合しても同じ品質の医薬品を提供するため、NRFレシピに基づいて調合できる。薬局へ入荷する調合用原材料や局方ハーブは確認試験を行い、プロトコールを作成したのちに使用や販売ができる。また、薬局には平均1日1個、完成品を目視でチェックすることが義務付けられている。箱を開封し、医薬品の色や性状、包装の不備の有無、添付文書の印刷状況などを目視し記録する。異常があった場合は、ドイツ薬剤師連盟(ABDA)の傘下機関である医薬品委員会(AMK)に報告する義務がある。医薬品調合は実に感動的(軟膏を攪拌しているという動詞の進行形rührendと感動的という形容詞rührendをかけている)(5)医薬品の調合図8 ABDA広報ポスター:Richtig rührend(6)確認試験と完成品目視チェック
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