薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13114りつけ薬局でなければならず、全薬剤師が、かかりつけ薬剤師であり健康サポートも行わなければならない。通常、処方箋業務が主な薬局業務となる。箱だし調剤により調剤にかける時間が非常に短く、ドイツの薬局に待合室や順番待ちの番号札はない。適応症や投与期間に合わせて製造されている医薬品包装には、患者向けの添付文書が入っており、患者がいつでも読めるようになっている。その内容は医薬品法第11条に定められており、製品・成分名、適応症、用法・用量、副作用など8項目20をこえる事項が示されている26)。余談であるが、ドイツの医薬品添付文書は、広げると元通りにたたむのが非常に困難な複雑な折り方になってる。処方箋内容読み取りスキャナーによりレセコンへの入力時間短縮と手入力によるミスの減少を図っている。ピッキングマシーンを置く薬局では、さらに調剤にかける時間が短くなっている。様々な機器導入で調剤業務の効率化を図り、できた時間的余裕は対面業務の充実とスタッフの勉強に充てている。ピッキングマシーンは、調剤を迅速化するだけでなく在庫管理の効率化にも大いに貢献している。最小のピッキングマシーンでも約7,000箱を収納でき、在庫スペース節約にもなる。在庫品目数の多いドイツの薬局では大きな薬棚が大きなスペースを占めていたが、それも解消できる。レセコンに搭載されているソフトの充実により、1台で様々な業務ができ、レジをほとんど離れることなく処方箋業務や対面業務ができる。通常、薬局では分包作業は行わない。各地に分包センターがあり、介護施設や希望する患者が依頼している。薬剤師は在宅業務を行っておらず、介護士の仕事である。ドイツでは全国24時間医薬品供給体制を敷い出所:ドイツ薬剤師連盟(ABDA)提供ており、時間外・週末・祝祭日の営業は、輪番制で所属地区の薬局が行う。輪番制にすることで各薬局の負担を軽減するとともに、各薬局が分担して24時間体制を支えることになる。薬局には時間外対応用の窓口と当直薬剤師が仮眠できる宿直室の設置が義務付けられている。輪番制地区の大きさやその地区における輪番内容の妥当性を判断し許可を与えるのは各連邦州薬剤師組合(LAK)の仕事である。かかりつけ、24時間体制ができるには、ある程度の品■えの広さと在庫量が必要である。これらは薬局営業法第15条により規定されており27)、薬局は1週間分の在庫を抱えることが義務付けられているだけでなく、在庫として置くべき医薬品や医療品の種類も定めている。病院薬局は薬局より多く2週間分の在庫を抱えることが義務付けられている。2004年から始まった成人に対するOTC医薬品の保険適用除外によりOTC医薬品の相談販売も重要な薬局の業務となっている。症状、体調不調期間、他の疾患や併用医薬品等に関する質問をし、適切なOTC医薬品を選び、場合によっては医師の受診を勧める。薬剤師の職能発揮に必要な条件の1つ、薬局の品■えの良さを支えるのが医薬品総合卸の働きである。医薬品総合卸は薬局の需要に合わせ、メーカーや製品の選り好みなく充分な量の在庫(2)24時間供給体制図7 薬局の夜間対応窓口(3)OTC医薬品の相談販売(4)薬局の品■えを支える医薬品総合卸1. 医薬品の安全・安定供給(1)処方箋業務
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