薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13112医療機関、自治体・官庁などで実習生として1年間働くことができると持ち点がアップする制度になっている。医学部、薬学部では適正試験を行っており、高得点が出せると、さらに持ち点が上がる。薬学部の人気は高く、アビトゥーアでの高成績が必要である。8学期(ゼメスター)制4年間の大学教育で、薬学生は1〜2学年で基礎学科、3〜4学年で専門学科を学ぶ。2学年終了時までに合計8週間の実務実習(Famulatur)が義務付けられている。Famulaturは少なくとも4週間、薬局で行うことが規定されており、残りの4週間は選択で病院薬局、国防軍薬局、製薬企業、医薬品検査機関やそれに準ずる施設で行うことも認められている。3学年に進級するには、基礎学科の習得度を見る第1次国家試験(Erster Abschnitt der pharmazeutischen Prüfung)に合格する必要がある。4学年終了時に卒業試験である第2次国家試験(Zweiter Abschnitt der pharmazeutischen Prüfung)が大学ごとに行われる。ドイツの大学では、学生の自主性が非常に重視され、講義はあるものの、各学科で指定される参考書を自分で読み解き、筆記・口頭試験に備えなければならない。ドイツの大学では実習先の斡旋はしないので、薬学生が各自で実習先を探すことになっている。薬剤師国家試験の受験を希望するものは、学部卒業後、1年間の実務実習義務があり、少なくとも半年を一般薬局で行うことが規定されている。残り6か月は、Famulaturと同様の選択肢が認められている他、大学の研究室や実務実習に適していると思われる研究機関でも行うことができる。選択肢として人気のある実習先は病院薬局であるが、数が少ないので必ずしも希望が叶うとは限らない。1年間の実習期間中に2回、それぞれ2週間、薬学実習生のために補習である特別講義(Begleitende Unterrichtsveranstaltungen)が行われ、参加しないと薬剤師国家試験が受けられない。講義は多岐にわたり、薬局経営や重要関係法規についても詳細に学ぶ。4年間の大学教育を終え、卒業試験である第2次国家試験準備で専門知識をしっかり詰め込んだ薬学実習生は、薬局で即戦力となる頼もしい存在である。薬局への問い合わせは、在庫の有無の他、薬理学的、製剤学的、栄養学的なものが多いが、医療機関や顧客・患者の専門的な質問にも薬学実習生は充分に対応できる。学術面で大いに他のスタッフのサポートをしている。また、知識欲・向上欲があり、手すきの時に文献を読んだり、ネット検索したりして知識に磨きをかけ、第3次国家試験に備えている。若い薬学技術アシスタント(PTA)達の良き相談相手にもなっている。(3)大学における薬学教育(4)卒後の実務実習と補習講義3. 即戦力となる薬学実習生4. 第3次国家試験(Dritter Abschnitt der pharmazeutischen Prüfung)同試験が薬剤師資格(薬局開設免許)取得のための国家試験となる。試験官資格のある大学教授、薬事法規専門家、薬剤師の3人から構成される試験チームによる口頭試験である。受験資格のある者が、連邦州薬剤師組合(LAK)に申しこみ試験日を決めてもらう。第3次国家試験は各州の薬剤師組合会館で行われる。日本のように全国同時に行われることはない。試験時間は短く、各試験官が出す質問数も少ない。受験者である薬学実習生が、学術、法規、実務面でどれだけ1人で問題解決できるかを見る試験である。大学教授は新薬や新技術について自身の専門分野の視点から質問をすることが多い。薬事法規専門家は重要な薬事関係法規や最近の関係法規改正の内容について質問を出し、その法規や改正が薬局でどのような業務に反映されているか、変化したかなどを問う。薬剤師試験官は、処方箋の扱い方、服薬指導で特に注意を喚起すべき医薬品やその剤形など、実務に
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