薬局・薬剤師に求められる役割健保連海外医療保障 No.13110に欠かせないABDAデータバンクの編纂も行っている。DAC/NRFはAVOXAの1部門であり、成分モノグラフや調合レシピの編纂、改良・改定業務を行っている。ドイツ薬局方、欧州薬局方(EP)、ホメオパシー薬局方などの公定書に掲載されていないが、国内における医薬品の製造・調合に欠かせない原料成分と賦形剤の規格を定めたモノグラフや成分希釈法が収められているのがドイツ医薬品コデックス(Deutscher Arzneimittel-Codex、DAC)である。NRFはNeues Rezeptur-Formulariumの略称であり、直訳すれば新調合方式で、調合レシピ集となっている。専門サイトにアクセスすれば、調合に必要なモノグラフやレシピのダウンロードが可能である。NRFに登録されていないレシピであれば、薬局は調合前に、その内容の妥当性、安定性などをチェックする義務があるが、その作業がこのサイト上でできる。傘下企業に出版社があり、薬学関係本を販売し、各薬局に毎週郵送される薬学新聞(Pharmazeutische Zeitung、PZ)の編集・出版業務を行っている。この薬学新聞(PZ)には、医薬品の安全性・有効性・品質維持に欠かせない情報が入っており、掲載された不良ロットの回収情報により、薬局在庫の徹底かつ速やかな回収が可能になる。② Netzgesellschaft Deutscher Apotheker mbH(ネット関連企業、NDGA)薬局と医療関連機関で安全なデジタル情報交換を可能にするインフラ構築に必要な技術開発を行っている。医薬品のトレーサビリティーシステム、SecurPharmやGematikと呼ばれる電子処方箋関連システムへのアクセスを可能にする薬局認識方式を開発した。③ Marketing Gesellschaft Deutscher Apotheker mbH(マーケティング企業、MGDA)政策により国民の自己健康管理の必要性が高まる中、それに対する相談役としての薬剤師の役割は大きい。セルフメディケーションの重要性は大きく、メーカーと薬局とつなぐ仲介業者としての業務をおこなう。④ Nacht- und Notdienstfonds des Deutschen Apothekerverbandes e.V.(夜勤手当ファンド、NNF)要処方箋医薬品の価格には、同ファンドへ徴収される夜勤手当と薬学管理技術料が含まれている。集められた資金を管理し、該当薬局へ配当する業務やテレマティクスインフラ構造への補助に関する業務が中心となっている。⑤ GEDISA - Gesellschaft für digitale Services der Apotheken mbH(デジタルサービス企業)薬局への新しいデジタルサービスを開発し、薬局と様々な医療機関・業者がデジタル情報交換する際の1仲介地点として機能する役割をしている。ここで開発されたデジタルサービスが地域住民に役立つことで、地域密着型であるかかりつけ薬局業務をサポートするねらいである。⑥ Arzneimittelkommission der Deutschen Apotheker(医薬品委員会、AMK)同委員会の情報は、毎週同じ形式で薬学新聞(PZ)に掲載される。薬局は、患者や使用者から報告された副作用・品質問題情報、薬局の目視検査で見つかった品質に疑いがもたれる製品を同委員会へ報告する義務がある。医薬品の安全性(Pharmacovigilance)、医薬品使用上のリスク(乱用・不適切使用など)の観点から情報収集に努めている。⑦ Zentrallaboratorium Deutscher Apotheker(ドイツ薬剤師セントラルラボ、ZL)医薬品、その他薬局で扱える製品の品質に関して相談できるパートナー機関である。調合に使用する成分原料や完成医薬品の分析、バイオアベイラビリティや薬学動態のデータ作成、医薬品に含有される不純物/分解物と代謝物の分析も行っている。
元のページ ../index.html#13