健保連海外医療保障_No.131_2023年3月
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薬局・薬剤師に求められる役割策により近年では2008年をピークに減少を続け、2021年は18,461店舗にまで落ち込んでいる。新設数の増加に鈍化がみられ小規模薬局が淘汰されている。全薬局数が減少する中、支店数は増えており経営の効率化がみられる。ドイツで薬局を開設できるのは薬剤師に限られている(Fremdbesitzverbot)。また、開設者であるその薬剤師がフルタイムで自局の経営にあたらねばならず、年間最長3か月、指定した薬剤師に業務代行させることが認められている20)。ドイツでは1人の薬剤師が複数の薬局を同時に経営することは禁じられている(Mehrbesitzverbot)が、2004年に規制緩和となり、本店が3店舗までの支店薬局を出せることとなった。これらの規制によりドイツでは薬局のチェーン展開が認められていない。2004年よりネット販売を含む通信販売許可も解禁となった。国内法では、既存の薬局が認可を取って通信販売を行うことになっており、他業種による医薬品の通信販売を認めていない。ドイツでは、ドラッグストアー、保険調剤薬局、併設店という区別がなく、薬局か病院薬局かの2分類である。日本語には薬店と訳されているドロゲリーマルクト(Drogeriemarkt)では化粧品・日用雑貨の他、自由販売薬も扱っているが、薬局という分類には入らない。中小規模の病院では院内に薬局を持たないところがあり、市中の薬局と契約を結び必要な医薬品供給をその薬局から受けている。病院用医薬品は薬局用とは包装サイズが違い、病院薬局購入価格はあるものの、病院用医薬品分に関しては、病院薬局と同様、薬局もメーカーとの価格交渉ができ、病院用包装品だけでなく、薬局用包装品も違った価格で購入できる。しかし、病院供給用に低価格で購入した製品を薬局で保険調剤用に利用してはいけない法律で、保管も薬局用と病院用に分けて行わなければならない。同じ製品なら、各薬局が公平に利益を出せるようにしたものである。2022年末版の病院薬局のアドレス帳に記載されている数は、372であり21)、日本に比べ非常に少ないといえるであろう。ドイツ薬局に関するニュースを瞬時に伝えるサイト、apotheke adhoc22)の2015年6月13日付の情報では、1990年代に600以上あった病院薬局は、2006年には471に減り、2013年に400を下回り、2014年には389になっていると伝え、主な理由としてこの間の病院数の減少を挙げている。連邦統計局によれば、1991年に2,411件あった病院は2013年には1,966に減少している。一方、病院数の減少とは反対に、この間の入院数は1,460万から1,800万に増加していて、平均在院日数は14日から7.5日に短縮したとも伝えている。同サイト2018年5月16日付のニュースでは、全国の病院薬局数は377とされており、ここ数年の減少は緩やかである23)。法律により外来患者の処方箋業務を行えないのもドイツに病院薬局が少ない1つの理由であろう。薬剤師の他、テクニシャンである薬学技術アシスタント(Pharmazeutisch-technischer Assistent、PTA)、薬学商業従業員(Pharmazeutisch-薬剤師薬学実習生旧資格である薬剤師アシスタントと薬学エンジニア実習生をふくむ薬学技術アシスタント(PTA)薬学商業従業者(PKA)32,81932,37632,094職場総数160,588160,454159,783出所: ABDA薬局統計 Die Apotheke: Zahlen Daten Fakten 202219)201920202021女性の比率2021(%)52,87652,99653,2851,6411,69273.772.91,6564,9754,6614,38996.768,27768,76568,32397.298.189.3健保連海外医療保障 No.1318(2)チェーン展開のないドイツ(3)薬局の分類(4)薬局で働く人々表2 薬局就業者数(2019-2021年)と女性の比率(単位:人)

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