健保連海外医療保障_No.131_2023年3月
10/77

−−−−−−7起こってはならない。医薬品価格構造に透明性を与え、需要と供給の関係から医薬品物流に関わる者が勝手に利益を上乗せすることを防ぎ、公平に利益を出すことを目的に定められているのが、医薬品価格法(Arzeneimittelpreisverordnung18))である。ドイツでは、医薬品法第73条により原則医薬品の輸入が禁止されているが、条件付きで個人の希望もしくは医師の処方による医薬品の輸入が認められている。その際、要処方箋かOTC医薬品かにより定められた算定方式があり、入荷価格が同じであれば、どの薬局でも薬価が同じとなる。日本の医薬分業率は、分業率=処方箋受け取り率=処方箋枚数(保険薬局での受付枚数)/外来処方件数(医療機関における処方箋発行件数)と、処方箋がどれだけ院外に出るかで示されており、外来処方箋はすべて院外へ出ることを常とするドイツとは状況が違うようである。調剤権に関し、日本では薬剤師法第19条により次のように定められている。第19条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方箋により自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときは、この限りでない。全薬局数 単独もしくは本店薬局数 支店薬局数新規開設薬局数閉店数増減出所:ABDA薬局統計 Die Apotheke: Zahlen Daten Fakten 202219)健保連海外医療保障 No.13119901995200019,89821,11921,59219,89821,11921,592372187156185+216+220052010201521,47621,44120,24920,24817,96315,9681,2283,4784,281326263154242370346+84-107-192 一 患者又は現にその看護に当たつている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合 二 医師法(昭和23年法律第201号)第22条各号の場合又は歯科医師法(昭和23年法律第202号)第21条各号の場合開業医院が第19条の一を可能にするには、院内に販売または授与の目的で医薬品の在庫を置くことになる。多くの医院がこれを行えば、薬局に医薬品が集まりにくくなる。かかりつけ、健康サポートをする上で、薬剤師がその職能を発揮する上で、薬局の品■えと在庫量は大変重要である。外来患者の処方箋を医院が扱うことで、必要な医薬品が薬局外に分散してはいないだろうか。日本の医薬分業は医薬品をすべて薬剤師のもとへ集めることの難しい曖昧な医薬分業である。2004年はドイツの薬局にとって大きな転換期となった。OTC医薬品の成人への処方の保険適用除外、それに伴うOTC医薬品の自由販売価格化、薬価算定の変更による大幅な利益減少、ネット薬局の解禁、3店舗までの支店開設許可など、薬局の経営に大きく影響を与える政策が始まった。全薬局数は厳しい薬剤償還費抑制政20192020202119,07518,75318,46114,47314,11013,7184,6024,6434,74310785455407369-348-322-29277表1 薬局数と支店数推移(1990-2021年)3. 日本の医薬分業Ⅲ. ドイツの薬局事情1. 薬局事情(1)減少する薬局

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る