健保連海外医療保障_No.130_2022年9月
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小中高小中高小中高69表15  健康検診の受診率の推移:学生(2017〜19年)まざまな政策的努力が行われるようになった(保健福祉部 2021:835-841;キム・テウン 2021:25-27)。何より2008年制定の「健康検診基本法」にもとづいて2011年から5年ごとに「国家健康検診総合計画」を実施するようになったのが、その代表的な例である。同計画には、国家健康検診の基本目標および推進方向、推進計画、推進方法、財源調達方法、検診の質管理の方法、健康検診の情報の管理方案および健康検診の資料を活用した事後管理方法、健康検診関連機関との協力方法などが含まれている。2011年に初めて「第1次(2011〜15年)国家健康検診総合計画」が実施され、そして2016年には「第2次(2016〜20年)国家健康検診総合計画」が策定され実施された。その成果をふまえて、2021年からは「第3次(2021〜25年)国家健康検診総合計画」が実施されている。以下では、主に2020年に終了した第2次計画の主要な内容を紹介する。そのうえで、第3次計画の内容についても簡単にふれる。第2次計画では、何より、①疾患の早期発見と改善のための迅速な支援、②ICT技術を活用した利用者中心の健康検診システムへの転受診対象者1,908,275928,062454,599525,6141,568,032937,688300,171330,1731,794,611903,982432,914457,7152017年2018年2019年出所:キム・テウン(2021:29)健保連海外医療保障 No.130(単位:名、%)受診者数1,901,509925,744452,700523,0651,562,866935,301299,595327,9701,787,881900,820431,318455,743受診率99.699.899.699.599.799.799.899.399.699.799.699.6換、③医学的根拠および効果分析にもとづいた健康検診の常時的改善が主な目標とされた(保健福祉部 2021:836-837)。それぞれについて簡単にみてみよう。まず、疾患の早期発見と改善のための迅速な支援については、「健康検診と健康サービス」「健康検診と治療」を連携することが重要な課題となった。そのために、健康相談サービスの対象を、これまでの40・66歳から、20・30・40・50・60・70歳へと拡大し、生活習慣を早期に支援することで、「健康検診と健康サービス」の連携を図った。また健康検診の結果、疾患の疑いがあった場合、2次健康検診なしですぐ本人がアクセスしやすい医療機関に訪問し本人負担なしで診療を受けることができるようにすることで、「検診と治療」の連携を図った。つぎに、ICT技術を活用した利用者中心の健康検診システムへの転換に関しては、ICT基盤の健康管理サービスの活性化を図った。そのために、国民健康保険公団の健康検診データを標準化した健康検診情報プラットフォームを構築し、ビッグデータとICT技術を活用しつつ、メールやSNSなどを通じて受診者に健康検診の結果と健康情報を提供する、アプリケーション「健康IN」を開発した。また、国民健康保険ビッグデータにもとづいて健康検診・医療サービス利用指標を開発し、それを保健所および事業所に提供することで、個人の健康管理と地域および企業の健康管理事業の活性化を図った。最後に、医学的根拠および効果分析にもとづいた健康検診の常時的改善に関しては、その一環として、疾病管理庁のなかに、「検診基準および質管理班」を設置し、検査項目および検査期間に対する評価などの健康検診の改善のための管理運営体制を強化した。これにより、たとえば、2018年には、一般健康検診と生涯転換期健康検診を統合し、骨粗しょう症、認知症、うつ病、身体機能評価など年齢別および性別の特性に合わせた検診項目と周期を調整した。それとともに健康検診担当医師のための義務教育を実施するなど、健康検診の質向上を図った。

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