健保連海外医療保障_No.130_2022年9月
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61表5 「健康検診基本法」の主要内容総則、国家健康検診委員会等、国家健康検診、補則の4つの章から構成されており、国家健康検診の定義、国家健康検診委員会の運営、健康検診総合計画の策定、検診機関の指定・評価・指定取消、費用補助などを規定している。表5にみられるように、「健康検診基本法」によれば、国家健康検診は、「母子保健法」や「乳幼児保育法」による乳幼児の健康検診、「学校保健法」による小・中・高の学生の健康検診、「青少年福祉支援法」による学校外青少年の健康検診、「国民健康保険法」による健康検診、「産業安全保健法」による一般健康検診3)、「医療給付法」による健康検診、「がん管理法」によるがん検診、「老人福祉法」による高齢者の健康検診、その他、保健福祉部令が定める健康検診として規定している。ちなみに、「乳幼児保育法」による乳幼児に対する健康検診と「産業安全保健法」による一般健康検診は、実施主体がそれぞれ保育園の園長と事業主となっており、国家と地方自治体による健康検診とはいえない。ただし、付帯条項により「国民健康保険法」による健康検診とみなす条項を設けており、これにより国家健康検診に分類されることとなる。以上の国家健康検診関連法律とその主な内容に関しては表6を参照されたい。以上のようにみると、国家健康検診は、1つの特定の政府部署が主管する事業であるという区分第1章総則第1条 (目的)この法律は国家健康検診に関する国民の権利・義務および地方自治体の責任を定め、国家健康検診の計画と施行に関する基本的な事項を規定するものであり、国民の保健および福祉の増進への寄与を目的とする。第3条(定義)この法律において、掲げる用語の定義は以下の各項に定めるところによる。   3. 「国家健康検診」とは、第11条および第12条により国家と地方自治体が施行する健康検診であり、次に掲げる各号に定めるところによる。一.「母子保健法」による乳幼児に対する健康検診二.「乳幼児保育法」による乳幼児に対する健康検診三.「学校保健法」による小・中・高の学生の健康検診四.「青少年福祉支援法」による学校外青少年の健康検診五.「国民健康保険法」による健康検診六.「産業安全保健法」による一般健康検診七.「医療給付法」による健康検診八.「がん管理法」によるがん検診九.「老人福祉法」による健康検診十.その他、保健福祉部令の定める健康検診第7条(他の法律との関係)①国家健康検診と関連した他の法律に規定された場合を除き、この法律に従う。出所:キム・テウン(2021:17)より筆者作成。健保連海外医療保障 No.130主な規定より、対象者別に関連法律に規定されており、それらの健康検診事業をすべて合わせて国家健康検診と称していることがわかる。なお、国家健康検診の種類は、前述の「健康検診基本法」第3条第3項によって定められているが、それは、健康検診を体系的に分類したものではなく、健康検診を規定する法律を羅列するものとなっている。主要法律の内容を簡単に紹介すると、以下の通りである。「健康検診基本法」とともに、健康検診に関連する重要な法律として位置づけられているのが「国民健康保険法」である。「国民健康保険法」は、健康保険の運営に必要な内容を規定している法律である。国民健康保険公団による健康検診は、「国民健康保険法」による多様な国家健康検診のうちの1つにすぎないが、それにもかかわらず、重要な位置づけにあるといえるのは、前掲の表1に示しているように、国民の97%以上が国民健康保険の加入者とその被扶養者あるいは世帯員であり、かれらの健康検診費用をすべて国民健康保険財政で賄っているからである。この「国民健康保険法」では健康検診の対象を規定している。同法によれば、一般健康検診の対象となる職域加入者と20歳以上の被扶養者、世帯主の地域加入者と20歳以上の世帯員、65歳以上の国民健康保険加入者と被扶養者、および乳幼児健康検診の対象となる0〜5歳で

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