健保連海外医療保障_No.130_2022年9月
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健保連海外医療保障 No.13044(1) Health visiting services10)(0〜5歳へのプログラム)(2) School nursing services11)(5〜19歳へのプログラム)諸外国における健診・検診についてNHS Health CheckやNHS Screening Programme以外の健康管理システムとして、Healthy Child Programme(以下HCP)があげられる。これは0〜19歳の子どもを対象にしたプログラムである。2009年当初は保健省によって実施されることとなっていたが、2012年に成立した「Health and Social Care Act 2012(2012年保健・ソーシャルケア法)」により、0〜19歳までの乳幼児および若年層の公衆衛生に対する法的責任は、地方当局に委任された9)。このプログラムは、年齢で2つのパートに分けられている。1つは0歳から5歳になるまでのパート、もう1つは5歳から19歳になるまでのパートである。これら2つのパートでなされる指導や管理、予防サービスには、全員に対して行うUniversal(共通)と、リスクが高い者を対象としたProgressive(発展)の2種類が存在する。5)乳がん検診50〜70歳の女性に行われる、乳がんの早期発見を目的とした検診である。最初の検診の案内は50〜53歳の間に届き、それ以降は71歳になるまで3年ごとに案内が届く。71歳以上の女性は希望者のみに実施される。6)大腸がん検診これまでは60〜74歳の人々が対象であったが、2021年4月からは50〜59歳の人々にも対象が拡大された。2年ごとに検査が実施され、自宅で行える便潜血検査のキットを用いて行う。75歳以上の人は、2年ごとに無料の大腸がん検診ヘルプラインに電話をし、キットを頼むことができる。7)腹部大動脈瘤検診65歳男性(4月1日から翌年3月31日の検診年度内)を対象にした検査である。それ以上の年齢の男性へは、希望者にのみ実施される。このサービスは、当該地域に居住する0〜5歳までの乳幼児の健康管理を行うものである。ただし、妊娠期間中からも指導・予防・検診がある。ここでの指導とは、親になるための準備に関する内容や、妊娠期間中に気を付けるべきことに関するものである。妊娠期間中の検診は前節で述べた妊婦検診も含まれており、0〜5歳の内、新生児に対する検診には前項で述べた新生児検診が含まれている。妊娠期間中から5歳までは、Health Visitor(訪問保健師)によって、定期的な健康のチェックが入る。Health Visitorとは、コミュニティケアの1つであり、プライマリケア(一次医療)と病院等のセカンダリケアの中間に位置する役割を果たす職である。新生児検診の後、就学年齢の5歳までに行われる検診には、聴覚や視覚に関するものがある。また各種の予防接種については、Health Visitorが訪問時にその内容や必要性の指導を行い、正しい情報を提供する。予防接種を行ったかどうかは、登録しているGPによって記録され、HCPでも確認できるようになっている。それにより、適切に予防接種が行われているかをチェックでき、子どもへの予防・健康促進活動に活かされている。HCPでは学校にスタッフを派遣して、子どもや若者たちの健康と教育をつなぐ働きをし、健康に関する問題について指導を行っている。その役割を果たすスタッフは多くの場合、School Nurse(学校看護師)である。このパートは、5〜11歳、11〜16歳、16〜19歳に分けられ、それぞれの年齢層の成長に合わせた指導・検診が行われている。主な内容は、若年層に対して早期に医療的な介入を行い、予防につなげる機会を設け医療の不平等を是正すること、健康と成長およびメンタルヘルスに関3. 子どもの健康管理

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