健保連海外医療保障_No.130_2022年9月
46/80

43健保連海外医療保障 No.130(3)健診結果の活用(2)検診の種類および検査項目8)1)妊婦検診妊婦に対し行われる検診である。検査対象となる疾患は、B型肝炎、HIV、梅毒、ダウン症、パトウ症候群、エドワーズ症候群、鎌状赤血球症、サラセミアである。また妊婦が1型ないしは2型糖尿病であった場合は、糖尿病性網膜症の検査も行われる。2)新生児検診出生後72時間以内に、新生児に対して行われる検診である。通常は新生児と母親が病院を退院する前に行われるが、GP診療所や子どもセンター、自宅で行われることもある。検査は両親立会いのもと行われることが望ましいとされている。検査対象は、目、心臓、股関節、睾丸の位置である。また6〜8週目に2度目の検診が行われるが、それは登録したGP診療所で実施される。3)糖尿病性網膜症検診12歳以上の糖尿病罹患患者に対して、年に1度行われる検診である。糖尿病性網膜症の早期発見を目的としている。4)子宮頸がん検診25〜64歳の女性を対象にした、細胞診による子宮頸がん検診である。25〜49歳までは3年ごとに、50〜64歳までは5年ごとに実施される。・中程度… 今後10年間に心血管疾患にかかる可能性が10%以上20%未満・高い…… 今後10年間に心血管疾患にかかる可能性が20%以上心血管疾患にかかるリスクは加齢とともに上昇することが多いので、次のNHS Health Checkにおいて、前回と同等かより高くなることが予測される。そのため、NHS Health Check では、BMI、血圧、コレステロール値を適正に保つ方法や、飲酒、喫煙、運動量といった生活習慣の改善策などの健康相談をする機会が設けられている。診断の結果によっては、高血圧や糖尿病、腎臓が健康であるかどうかの再検査をすることが求められる。また、NHSのウェブサイトでは簡単な質問から心臓年齢を測定できるサイトや、身長体重だけでなく性別や人種、運動量なども加味してBMIを算出するサイトなどもあり、個人の健康管理の一助となっている6)。個々の健診結果は機密の医療情報として記録され、GPやその他の医療専門スタッフが個々人との医療相談を行う際など、必要に応じて確認することができ、本人に対してはその記録をコピーして渡すこともできる。NHS Health Checkを受けた者で、その内容に不満があった場合は、運営者である地方協議会に問い合わせをすることができ、質問やフィードバックを送ることができる。NHS Screening Programmeとは、特定の疾患の早期発見のために行われる無料の検診である。 UK National Screening Committee(UK NSC)という独立した専門家集団が、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4地域の、どのような対象にどういった検診をすべきか助言する7)。その際コストも加味され、実施することによる利益がコストを上回るような場合に、検診が推奨される。推奨される内容は定期的に見直しがなされ、通常3年ごとに更新される。NHS Screening Programmeの各検診に該当する者には、各検診の案内が送られてくる。該当者はその内容を確認し、受診の可否を決めることができる。受診するか否かは個人に決める権利がある。そのため、自身のかかりつけ医などと、各検診のリスクや利点などを相談して、検診を受診するかどうか決めることもできる。2. NHS Screening Programme(検診)(1)概要

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る