健保連海外医療保障_No.130_2022年9月
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(公衆衛生法典・2006年9月29日のアレテ)健保連海外医療保障 No.130≫診 健≪≫診 検≪労働者に対する健診児童の健診25(労働法典)(公衆衛生法典・教育法典)出所: 筆者作成。出所:筆者作成図1 フランスにおける主な健診・検診(社会保障法典/医療保険・1992年7月20日のアレテ)(社会保障法典/医療保険)健診センターにおける健診診健の婦産妊(公衆衛生法典)かかりつけ医等を通じた健診・検診 (※個別がん検診を含む) 組織的ながん検診 ・乳がん検診診検んが腸大・ ・子宮頸がん検診図1 フランスにおける主な健診・検診ている「組織的ながん検診」、さらに「かかりつけ医等を通じた健診・検診」に焦点をあてて検討を行う。比較の観点からは、かかりつけ医等が健診・検診において一定の役割を果たしている点にフランスの特徴がある。あわせて、医療保険(保険者)が健診・検診に大きく関与している点も重要であり、医療保険が担っている役割についても注目しながら検討を行うこととしたい。フランスの医療保障制度には、「医療保険」が重要な役割を担っていることや、外来診療の報酬が出来高払い方式であることなど、日本と共通した特徴がみられる。一方で、健診・検診の位置づけや実施の枠組みについては、日本との大きな違いがみられる。最初に、健診・検診制度の理解に不可欠な点を中心に、フランスの医療保障制度の概要を確認しておきたい。フランスの社会保障制度は、歴史的に職域ごとに整備・拡充が図られてきたため、複数の分立した制度から構成されている。医療保険に注目すると、最も代表的なものは総合的な社会保険制度(一般制度(régime général)と呼ばれる)のなかで実施されている医療保険であり、人口の約9割がこれによりカバーされている。この一般制度は、第二次世界大戦後間もなく、賃金労働者を対象とした社会保障制度として創設され、医療保険はその一部門として実施されてきた。医療保障の一般化・普遍化をめざす政策のもとで医療保険の対象者が拡大され、今日では多様な状況にある人々を広くカバーする普遍的な性質をもつ制度となっている。一般制度のほかにも、農業従事者(経営者、被用者)を対象とした農業制度や特定の業種・職種(公務員等)を対象とした特別制度が存在している。本稿では、人口の大部分をカバーしている一般制度の医療保険(およびその保険者)に焦点をあてて、健診・検診とのかかわりを検討していく。一般制度の医療保険の保険者組織としては、各地域に設置された初級疾病保険金庫(フランス本土に101金庫)と、それを統括する全国疾病保険金庫が存在する。後者の全国疾病保険金Ⅰ. フランスの医療保障制度

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