13表3 健診の受診率(2017〜2018年)適切である場合には、生活習慣病の予防のための給付が勧告される。問診では、精神的な発達状態、学校での素行・学業成績、健康によくない生活習慣(喫煙、飲酒、薬物使用)、慢性病等に関する確認が行われる。身体検査では、身長・体重等の測定のほか、血圧や側湾症の検査、首回りや内臓の病気等の確認が行われる。前述のように、ドイツでは、健診・検診の受診は任意である。2015年に刊行されたロベルト・コッホ研究所の報告書『ドイツにおける保健』では、受診率について、①一般健診の受診率は50%強であること、②がん検診の受診率はがん種によって異なること、③乳幼児健診の受診率は90%強、青少年健診の受診率は50%未満であること、④受診率は、性別、年齢、社会経済的状況、宗教等によって異なることが指摘されている65)。健診の受診率(2017〜2018年)は、表3のと男性(%)35歳以上40歳未満40歳以上45歳未満45歳以上50歳未満50歳以上55歳未満55歳以上60歳未満60歳以上65歳未満65歳以上70歳未満70歳以上75歳未満75歳以上80歳未満80歳以上上記の年齢層全体出所: “Teilnahme am gesetzlichen Gesundheits-Check-up.” Gesundheitsberichterstattung des Bundes website <https://www.gbe-bund.de/gbe/!pkg_olap_tables.prc_set_page?p_uid=gast&p_aid=6098228&p_sprache=D&p_help=2&p_indnr=779&p_ansnr=22922005&p_version=3&D.000=112050&D.003=43>健保連海外医療保障 No.130女性(%)27.335.840.943.645.549.052.054.355.648.244.336.045.849.550.250.753.255.757.357.146.249.8おりである。健診は、2018年までは、2年に1回の頻度であった。そのため、表3で示す割合は、[2017年および2018年の受診者の合計数]を[当該年齢層の検査を受ける権利を有する者の数]で除したものである。健診の受診率については、女性の方が男性よりも受診率が高く、若い世代の受診が少ない傾向が指摘されている66)。がん検診の受診率については、乳がんのマンモグラフィ・スクリーニングが約50%(2019年)であり67)、子宮頸がんの公式に公表された受診率は見当たらなかった。大腸がんでは、便潜血検査で50〜54歳の男性が7.4%、女性が23%、内視鏡検査で55〜64歳の男性が2.5%、女性が2.6%であった(2018年)68)。また、2009年に55歳であった男性の35%、女性の47%が64歳までに大腸がん検診を受けていた。便潜血検査の受診率は、この10年くらいの間に減少傾向にあるとされており、50〜54歳の男性の受診率は21%、女性では15%減少した。内視鏡検査の受診率は長期的に見て大きな変化はないとされている。前立腺がんについては、地区疾病金庫の調査機関が2009年から2020年までの検診の利用を調べたところ、54〜70歳の男性の約3分の1が過去10年間に3回以上受診していたとの結果を公表している69)。年齢が上がるにつれて受診率は高まり、70歳以上の男性では48%が過去10年間に3回以上受診していた。皮膚がんでは、地区疾病金庫の調査機関の2022年の報告において、検診の受診率は16%(2019年)とされているが、これは[2019年の1年間で検査を受けた人数]を[公的医療保険の35歳以上の被保険者総数]で除したものである70)。皮膚がん検診は2年に1回受けることができるものであるから、実際の受診率は16%のおよそ2倍の約30%程度と考えることができる。がん検診の受診率に関する政策的な目標は、①個人のレベルでは、がんの早期発見によるチャンスとリスクに関する客観的な情報提供を行い、これらの情報に基づいた参加/不参加の決定をⅤ. 健診・検診の受診率および評価1. 受診率
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