11健保連海外医療保障 No.130④質の確保、⑤定期的に検診を受けたグループとそうでないグループの罹患率・死亡率の長期的な推移、⑥HPVワクチンが検査結果に与える影響、⑦陽性結果から生じるよくない影響等に基づいて行われる。被保険者は、50歳以降、希望により1回に限り、大腸がん検診を実施する医師から検査の詳細について説明を受ける権利を有する。医師は、被保険者の情報をもとに、それぞれのリスク要因を考慮して検査の目的等について説明する。検査は、便潜血検査(iFOBT)または大腸内視鏡検査により行われる。悪性の大腸がんであっても出血しないものもあり、また、内視鏡検査では早期の小さながん等を取り除くことができるため、大腸がんの予防としては、内視鏡検査の方が便潜血検査よりも確実とされる58)。○男性50歳以降: 内視鏡検査を10年以上の間隔を空けて2回まで50〜54歳:1年に1回の便潜血検査55歳以降: それまでに1回も内視鏡検査を受けていない場合には、内視鏡検査の代わりに2年に1回の便潜血検査65歳以降に初めて内視鏡検査を受ける場合には、1回のみの内視鏡検査○女性50〜54歳:1年に1回の便潜血検査55歳以降: 内視鏡検査を10年以上の間隔を空けて2回まで55歳以降: それまでに1回も内視鏡検査を受けていない場合には、内視鏡検査の代3)大腸(結腸・直腸)がん検診(50歳以上)50歳以上の被保険者は、大腸がん検診を受けることができる。疾病金庫の負担による大腸がんの早期発見検診(内視鏡)は、2002年から導入されている57)。2019年7月からは「組織的ながん早期発見プログラム」として行われており、50、55、60、65歳の被保険者は、大腸がん検診の通知と情報提供を受ける。4)前立腺がん検診(45歳以上の男性)45歳以上の男性の被保険者は、毎年、前立腺がん検診を受けることができる59)。前立腺がん検診では、問診、視診、直腸内触診、リンパ節等の触診が行われる。5)皮膚がん検診(35歳以上)35歳以上の被保険者は、2年に1回、皮膚がん検診を受けることができる。皮膚がん検診は、悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がんおよび有棘細胞がんの早期発見を目的とする62)。皮膚がん検診では、問診、身体全体の視診(頭皮を含む。)が行われる。(3)乳幼児・青少年を対象とする健診わりに2年に1回の便潜血検査65歳以降に初めて内視鏡検査を受ける場合には、1回のみの内視鏡検査大腸がん検診の評価は、①受診率、②陽性結果、偽陽性、便潜血検査および内視鏡検査の発見率、③中間期がんの発見率、④質の確保、⑤定期的に検診を受けたグループとそうでないグループの罹患率・死亡率の長期的な推移、⑥内視鏡検査によるリスク等に基づいて行われる。連邦共同委員会は、前立腺がん検診において、PSA検査(血液中にある前立腺に特異的なタンパク質の一種「PSA」の値を測定する検査60))を行うことを検討したが、がんを早期に発見するメリットよりも、過剰診断や偽陽性によるデメリットの方が大きいとして、2020年12月、PSA検査を疾病金庫の負担で行う検査に組み込まないことを決定した61)。皮膚がん検診の評価は、検査記録を定期的に評価することにより、質および目標達成度の観点から行われる。評価は、特に、①受診率、②疑いの診断の数、③確定診断の数、④偽陽性の数、⑤発見率等に基づいて行われる。乳幼児健診(U-Untersuchungen)は、新生児から5歳までの乳幼児を対象とするもので、月・年齢に応じて10の区分(U1〜U9)があ
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